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もしかして 9
「そんなモン、飽きたんだろ? 知らねぇけど」
「飽きた?」
少し気まずげに視線を逸らすと、圭斗が不思議そうに聞き返してきた。
もし本当の事を言ってしまえば幻滅されるかもしれない。この男に幻滅されるのは何故だか怖い……。
そう思うと咄嗟に出てしまったのは、自分自身を偽った言葉だった。
「ヤンキーやめるきっかけなんて、みんなそんなもんだ。好きな奴が出来たから、とか、もっとやりたいことが見つかったから……とか。そんな大それた理由なんて無いって。伝説の男つーけど、一人の人間なんだし……。大体、久しぶりに話しかけてきたと思ったらバイクの事ばっかじゃねぇか。なんなんだよお前……。人に好きだとかなんだとか言っておいて、結局一度も連絡も寄越さないし顔も見せないで――」
そこまで言ってしまってから、怜旺はハッと口を噤んだ。 これじゃ、自分がずっと圭斗の事を気にしていたみたいじゃないか。
しかも、言うつもりの無かった事をベラベラと……。
急に黙り込んで視線を逸らした怜旺を見て、圭斗が一瞬驚いたような顔をする。だが、直ぐに表情を崩した。
「……なにニヤニヤしてんだ」
「いや、だってさ……。アンタがまさかそんな期待してたなんて思わねぇじゃん?」
「なっ、ばっ……っ、期待なんてしてねぇ!」
カッと頬を赤らめながら声を荒げるが、圭斗は笑みを崩す事無くジッと怜旺を
見つめて来る。その視線に耐えられず、怜旺は堪らずふいっと顔を逸らした。
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