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ピンチ 2
「それを俺に言うのはお門違いなんじゃないのか? そもそも、そんな事を聞くだけの為にこんな事をする必要があるとは思えないが……」
流石にやりすぎだろうと呆れたような目で亮雅を見上げると、その視線を受けた亮雅がネクタイを緩めながらニヤリと口角を吊り上げる。
「アンタの実力は知ってるからな。暴れられたら正攻法じゃ勝ち目がねえし、もう一つどうしても聞かなきゃいけないことがあるんだ」
近づいてくる亮雅の顔を避けようと顔を背けたが、それを阻むように亮雅が両手で怜旺の顎を掴み上を向かせた。
染みついた煙草の匂いに思わず眉を寄せ眉間に深い皺が刻まれる。
「……なんだ、聞きたいことって」
どうせ碌なことでは無いだろうと思いつつも、一応答えてやる素振りを見せてやると、亮雅は卑下た笑みを湛えたまま更にゆっくりと顔を近づけて来た。
「アンタさ、まだデリヘルやってるんだろ? 圭斗をたぶらかすなんて造作もないよな。一体どんなテクを使ったんだ?」
「……っ」
意味深な亮雅の視線と言葉を受け、怜旺の顔色が変わった。そう言えばコイツは一番最初に圭斗と共に自分の裏家業を目撃していた人間だったと思い出す。
まさか、あの時の事を言われるとは思いもしなかった。
「別に誑かしてなんかいねぇ」
デリヘルをしている事実は消えないが、そこだけはきちんと否定しておかなければいけない。
「嘘つけ! じゃぁなんで圭斗が急に変わっちまったんだよ!」
「知るか! そんなモン! いい加減に――……っ」
苛つき思わず声を荒げると顎を掴んでいた手の力が強くなり、怜旺は息を詰まらせた。
「じゃぁ、あの日以降圭斗と一度もヤってないって言えんのか?」
「……っ」
「動画をネタにアンタを強請って遊んでんだと思ってたのに、いきなりあの動画はもう消したとか言い出すし……。あの日のことは忘れろとか、意味わかんねぇ」
亮雅はそう言うと乱暴に怜旺のシャツを左右に割り開き、露出させた肌にゆっくりと指先を這わせ始めた。
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