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ピンチ 3
「っ! 触るなクソガキっ!!!」
その仕草に背筋を悪寒が走り、足をバタつかせて距離を取ろうと必死に抵抗するが拘束されている上に、身動きが取れないように上に圧し掛かられてしまってはそれすらも叶わない。
「いいね、その目。やっぱアンタ、ただの元ヤンってレベルじゃねぇだろ。そんな奴を組み敷いてるって思うと、ゾクゾクするっつーか。圭斗はアンタに手を出すなつってたけど……。そんなの俺、納得してねぇし。それに、アンタの身体も具合良いの知ってっから……」
舌なめずりでもしそうなくらい厭らしい表情で口角を吊り上げ、亮雅が怜旺の首筋に顔を近付けてくる。
「っ、変態が……ッ」
「何とでもどうぞ。大声で叫んで助けでも呼んでみるか? まぁ、この部屋は端の方にあるから誰も気付かねぇと思うけど」
首筋を撫でられ、体中を這いまわる亮雅の湿った手が気色悪くて身を捩る。
しかし、腕を拘束されている上に圧し掛かられてしまっては碌な抵抗など出来ようもない。
怒りと悔しさにギリっと奥歯を嚙み締めると、はだけたシャツの隙間からするりと亮雅の手が怜旺の肌に滑り込んでくる。
「せっかく撮ったネタ、アイツが削除したっつーから、今度は俺が記念に撮っておいてやるよ。おい、準備は出来てんのか?」
「も、勿論……。大丈夫」
「!?」
物陰から声がして、怜旺はギクリと身を強張らせた。背中に嫌な汗が流れるのを感じながら目だけそちらを向けると、青い顔をした都築が震える手でスマホを持ってこちらを見ている。
「都築、おま……っ、何やっ、て……?」
「ごめん、先生っ 僕はやめた方がいいって言ったんだけど……」
青い顔をした都築が項垂れて謝罪を口にするが、脅されているのか撮影を止める気配はない。
一体どういうつもりなんだ。コイツは慕ってくれていたんじゃなかったか?
亮雅に酷い目に遭わされていたんじゃなかったのか!? なぜ、未だに言いなりになっているんだ?
都築の真意が読めずに戸惑っていると、首筋を這っていた亮雅の手が胸元の飾りを摘まんで強めに引っ張った。その痛みに怜旺は堪らず息を詰めて身体を仰け反らせる。
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