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好きなんだ 4

そんな怜旺の顔に圭斗はふっと笑みを浮かべると、腰に腕を回して引き寄せ怜旺の膝に頭を乗せかけて来た。 「ちょ、おまっ何勝手に……っ」 「いいだろ、別に。この方があったけーし、安心できる」 「……っ俺が落ち着かねぇんだよっ!」 いい位置を探しているのか膝の上でもぞもぞと動く圭斗の髪がくすぐったくて抗議の声をあげると、圭斗は上を向いてニヤリと笑って悪戯な視線で見つめて来た。 「顔真っ赤だぜ?」 「……るせっ。ほっとけ!」 そんなの、言われなくたってわかってる。恥ずかしくて顔を見られたくなくて腕で口元を覆いながら視線を逸らした。 「……俺さ、今までヤれれば誰でも良かったんだ。どうせ誰とヤったって代わり映えしねぇし。ちょっと声掛けりゃ女なんて簡単に股開くし……。デリヘルやってるアンタもどうせ似たようなもんだろって最初は見下してたんだ」 なんでいきなりそんな話をしだしたのか理解できないが、口を出すのはなんとなく違う気がして取り敢えず最後まで話を聞いてみる事にした。 「今まで一回ヤったら大抵の女は悦んで擦り寄ってくんのに、アンタだけは違った。普段前髪で隠してクッソダサい格好してるくせに、喧嘩してる時はめちゃくちゃカッケーし。そうかと思えばヤってる時は別人みたいにエロいし。気付いたら目が離せなくなっててさ……」 「エロいって言うな。お前の好きって結局身体だけじゃねぇか」 よかった、危うく勘違いしてしまう所だった。 もしかしたら……。なんて一瞬でも期待しかけた自分が恥ずかしい。 「ちげーよ。最後まで聞けって」 「……まだあんのかよ」 ちらりと視線だけ投げてよこすと、目が合ってしまい慌てて視線を逸らした。 いちいち目が合うたびにドキドキする。胸が痛くて苦しくて、息が詰まりそうだ。 それと同時に、圭斗の声も表情も、凄く優しい気がして……。なんだか調子が狂う。

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