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好きなんだ 6
「……なぁ、アンタは? どう思ってるんだよ。俺の事」
ふと、真剣な声音で問われてぎくりと身体が強張った。 どう想ってるか、なんて聞かれても困る。
何と答えていいか迷い、曖昧な表情で誤魔化そうとした怜旺の態度が気に入らなかったのか、圭斗がムッとした表情をした。
「答えろよ」
逃さないとでも言うように両手で怜旺の頬を固定すると、圭斗は顔を近づけて来た。唇が触れそうなほど近くなって、怜旺は息を吞んだ。
まっすぐにこちらを見つめる視線が熱い。
「なぁって……」
「……っせぇな。本気で嫌いだったらお前とこういう所に来てねぇっつーの!」
居た堪れなくて頬を固定している手を払いのけプイっとそっぽを向いた。こんな事を言ってしまっては、もう後戻りはできない。だが、嘘を言ったつもりもない。
怜旺が不機嫌そうに口を尖らせて告げたその言葉に、圭斗の目が一瞬大きく見開かれ、またすぐ、いつもの意地悪な笑みを浮かべると怜旺の顔を覗き込んだ。
「へぇ? じゃぁ俺の事好きなんだ?」
「っ……! そうは言ってないだろ! 自惚れんなボケっ!」
「ハッ、可愛げねぇなぁ」
悪態をつく怜旺の頭をぐしゃぐしゃと掻きまぜ、圭斗は楽しそうに笑うと怜旺の腕を掴んでベッドに倒し、そのまま上に覆い被さってきた。
「っ……! お前っ何すんだ……っ」
「なにって? ナニだろ」
「はぁっ!? さっき、時間が来るまで適当に時間潰すとか言ってただろうがっ」
「そうだっけ? 最近俺、物忘れが激しくてさ」
しれっと言いながら、グイグイとのしかかって来る圭斗の肩に手を当て押し戻そうとするがビクともしない。
それどころか、その手を掴まれ頭の上に纏められシーツに縫い付けられた。
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