169 / 342

好きなんだ 7

「それに……、あんな可愛い事言われて手ぇ出さないとか無理だし」 「っ……」 別に可愛らしい事を言ったつもりなんて毛頭なかった。けれど、その余裕のなさそうな切羽詰まった表情は妙に大人っぽく見えて、不覚にもドキリとしてしまう。 圭斗が愛用している香水の香りが降り注ぐように落ちて来てその甘さに頭がクラリとした。 顔と顔が接近し、目が合って、自分にはない男の匂いを感じ取り、時間が経って一度落ち着いて来ていたはずの鼓動がまたうるさく騒ぎだす。 見つめ合ったまま、圭斗の掌がゆっくり肩からわき腹を通って腰に触れる。いやらしい手つきが際どい部分をなぞる様に怜旺の身体を弄りぞくぞくと甘い刺激が身体を駆けていく。 「っ、ぁ……ッ」 「声、抑えんなよ。どうせ、俺しか聞いてねぇんだから」 耳元で低く囁く声が鼓膜を震わせた。耳たぶを唇で挟んで上下する。時折歯を立てて甘噛みされれば、ずくんと腰に鈍い刺激が走った。 何処をどう触れれば怜旺が反応するのか、圭斗は手に取る様に分かっているのだろう。執拗に首筋ばかりを狙って舌を這わせ、熱い舌が肌の上を滑って行く。 それと同時にシャツの裾から長い指が侵入してきて、焦らすようにわき腹を何度も往復して撫でて行く。 「ッ……ん、ふ……っ」 触れられた箇所が熱い。 痕を付けるのはやめろと抗議したいが、口を開けば甘い声が漏れてしまいそうで怜旺はきゅっと唇を噛みしめて耐えた。 「は……、ッんん」 「相変わらず敏感だな……。ほんと、たまんねぇわ」 腰が揺れてるぞと、耳元で低く囁かれてその声の甘さにくらくらする。

ともだちにシェアしよう!