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確かめたい 3
「何やってんだよ。行くんだろ?」
内心、付き合ってられるかと怒って帰るんじゃないかと少し不安だった。
でもそれは、どうやら思い過ごしだったようだ。
「……悪い。今行く」
どこか少し気恥ずかしさを感じつつ、怜旺はへにゃりと笑って圭斗の背を追いかけた。
***
***
「あ、キュウリ1本30円だって! 安くね? お1人様5本か……」
「なぁ、見ろよ。あっちでたまごの特売やってる!」
「へぇ、今日はアイス安いじゃん。どうする?」
誰かと一緒に買い物に来たのなんて何年ぶりだろう?
いつも黙々と籠に入れるだけの作業も、圭斗が一緒だと思うと何故だか楽しくて、自然と顔を綻ばせながら圭斗をあちこち連れ回した。
それでも嫌な顔一つしないでついて来てくれるのは、本当に有難い。
「楽しそうだな。アンタ」
「え? そ、そう見えるか?」
流石にちょっと大人げなかっただろうか? 生暖かい目でこちらを見ている圭斗に、慌てて口元を引き締めてみた。
「なんつーか、こんな風に誰かと買い物行くのってめちゃくちゃ久しぶりだったから……つい」
そんな言い訳染みた事を言って俯いていると、不意に圭斗の手が伸びてきて頭をくしゃりと撫でられた。
「な……っ、おいっ」
「ははっ、いいんじゃね? アンタのそう言う意外な一面が見れて……なんつーか、嬉しいし」
「……ッ」
頬を掻きながら少し照れくさそうに笑う圭斗に、何だか自分まで恥ずかしくなってきて怜旺は顔が熱くなるのを感じた。
「何照れてんだよ」
「うっせ! お前が変な事言うからだろうがっ!」
ぎゃいぎゃいと言い合いながら総菜コーナーを通りかかったその時だった。
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