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確かめたい4
「あら? 怜旺君じゃない?」
「え?」
声を掛けられ振り返ると、カラフルな三角巾が目に飛び込んで来る。ふんわりと漂う肉の焼けるいい香りが鼻腔を擽り思わず足を止めた。
「今日は随分イイ男連れてるのねぇ。珍しい。もしかして、怜旺君の親戚か何か?」
小さなホットプレートでソーセージを焼きながら顔なじみのおばちゃんがにこやかに話しかけて来る。
「いえ、違いますよ。コイツは俺の担当している生徒です」
「あら。そうなの? 凄く仲が良さそうだし、昔の怜旺君に髪型がそっくりだったから勘違いしちゃった」
「……えっ?」
しまった。と思った時には既に遅し。おばちゃんに悪気は無いのだろうが、明らかに怪訝そうな表情を浮かべる圭斗を見て思わず、張り付かせていた余所行きの顔が引き攣るのがわかった。
「おばさん、俺がこの人と似てるって言うのは本当っすか?」
「ちょ! 椎堂っ!」
おばちゃんに直談判する圭斗に慌てて制止を掛けるが、怜旺の事情など全く知らないおばちゃんは、あっけらかんと笑いながら、そうよぉ。と笑って認める。
「今でこそ学校の先生になっちゃって、真面目そうにしてるけど、怜旺君ってば昔はかなりのヤンチャ坊主でねぇ。ええっと、何だったかしら……? 変なあだ名まで持ってたわね」
「お、おばちゃん! ストップ! ちょ、やだなぁ……。生徒の前でそれ以上俺の黒歴史ばらさないでよ」
「あらやだ。ごめんね、怜旺君。 そうよねぇ、今は何処からどう見ても真面目な先生だものねぇ」
ふふっ、と笑うおばちゃんは悪意など一切ないのだから、怒るに怒れない。
どうしたものかとチラリと圭斗の方を見ると、なにやら思うところがあるらしく、真剣な顔をしてホットプレートをじっと見つめていた。
圭斗は薄々自分と小さき百獣の王との繋がりには気付いていそうだったし、いつかは話すつもりではいたのだが、まさかこんな形で知られるとは思ってもみなかった。
これ以上余計な事を暴露される前に、此処を離れなければ。
「おばちゃん、俺達はそろそろ……」
「んだよ、もう行くのか?」
「は!?」
圭斗の持っているカゴを奪おうとしたが、想像より強い力で握られていた為、思わず間の抜けた声が出てしまった。
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