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確かめたい 18

「なんだよ。行かないでってか?」 シャツを掴む手に力が入ったのを見逃さず、圭斗は意地悪く笑みを浮かべながら振り返る。 「ち、ちがっ……ゴミが付いてたから取ってやっただけだ」 「ふぅん、ごみ……ねぇ」 ニヤニヤと笑いを堪え切れない様子の圭斗に、何か見透かされているような気がして恥ずかしさを誤魔化すようにフンと鼻を鳴らしてそっぽを向いた。 圭斗は可笑しそうに吹き出し怜旺の手をそっと握ると指を絡ませた。 「お前さ、俺のこと好きだろ?」 確信犯じみた問いかけに頬が熱くなるのを感じた。 「……うっせ! 自惚れんな」 なんだか居た堪れなくて悪態を吐くが、圭斗はにやにや笑いを止めない。腹が立つから早々に立ち去ってほしいくらいだが、握られた手を振り払うことができないでいる。 「たく、素直じゃねぇなぁ。まぁいいや、そうだ……。今度どっか行こうぜ。行きたいとこ考えとけよ」 そう言い残して圭斗はスルリと怜旺の手を一度強く握り締めた後、名残惜しそうに離して帰っていった。 一人残された部屋の中で怜旺はベッドに倒れ込んだ。触れられた指先が熱い。 「行きたいとこって言われたって……」 それってつまり、デートの誘いじゃないか。そんな考えが浮かんでまた顔に熱が集まっていく。デートなんて一度もしたことが無い。今思えば初恋だった大我と何処かに出掛けた事は一度も無かった。 当時は若かったし、浮かれていてわからなかったが、自分は所詮都合のいい性欲処理だったのだと今更ながらに痛感する。 どうしよう、何処に行こう?  そんなを考えて浮き立つ自分に苦笑して、怜旺は火照った頬を枕に擦りつけながら目を閉じた。 何処からともなくほんのりと圭斗の匂いが残っているような気がして落ち着かないし、唇にはまだ先程の感覚が残っていて、なんだかそわそわする。 薄々気付いてはいたがやっぱり、自分は圭斗の事が好きなのだ。一つの答えに行きついた時、モヤモヤしていた心の内側が靄が晴れて行くようにスッキリした感覚を覚えた。 なんで、いつの間に……? 圭斗の事を思い浮かべるとドキドキと胸が高鳴って落ち着かない。 触れ合った唇の感触や、手を繋いだ時の掌の熱さが蘇ってくるようで、どうしようもなく恋しい気持ちが込み上げてくる。 やべぇ、どうしよう……明日どんな顔で会えばいいんだよ。 火照った頬を冷まそうと枕に顔を押し当てたまま大きく息を吐き出すと、怜旺は頭から圭斗の匂いを消すように思いっきり息を吸い込んだ。

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