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ドキドキ文化祭 ☆

あの日から約1か月が経過し、もう10月も終盤。すっかり秋めいて朝晩の気温がグッと冷え込む日も多くなってきていた。 2学期は色々な行事やテストがやたらと多くなんだかんだで忙しない毎日が続いている。 特にここ数日は文化祭の準備もあってろくに圭斗と話せていない。そろそろデートの日取りも決めたいのに、怜旺が話しかけようとすると図ったかのようなタイミングで邪魔が入り中々二人きりになる時間が取れない。  放課後はバイトが忙しいらしく、さっさと帰ってしまう為ろくに話も出来ないままだ。 あの日以来、圭斗からの連絡はない。自分から連絡を取ればいいのかもしれないが、いざディスプレイを開いてもなんと送っていいのかわからずになんだかんだと言い訳をしては連絡できずに今日まで来てしまった。 自分の内に秘める圭斗への好意を自覚した途端、彼に会いたい、触れたいと言う欲求が日に日に増していくばかりで、その気持ちをどうにか抑え込むのに必死だった。 なんだか最近おかしいのだ。自分が自分でないような感覚で、圭斗の事ばかりを考えている。今何しているか、何を話しているか、何を考えているか……そんな事ばかりが気になって仕方がない。 文化祭は、圭斗は誰と回るのだろうか? 亮雅……は、レイプ未遂事件以降一緒にいるところを見たことが無いから除外してもいいだろう。 他の友人と一緒に見て回るのか、やはり仲の良い麗華や小春だろうか? 圭斗が誰かと回るのをつい想像してしまい、なんだかモヤモヤとしてしまう。 一緒に回りたいだなんて自分から言うのは、気恥ずかしさが先に立ち中々言い出せない。それでもやっぱり誘ってくれないのは寂しいような気がする。 「……連絡くらい……寄越せっての馬鹿……」 真っ暗なままのディスプレイに悪態を吐きつつ、賑やかな校内を巡回して回る。 怜旺達のクラスは電子工学やプログラミングを駆使した本格派のお化け屋敷で、生徒達がメインになって動いてくれているので、本番が始まってしまえば怜旺の出番は少ない。 学校一の問題児クラスだが、こういう時の団結力はぴか一だと思う。

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