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ドキドキ文化祭 4
「アイツ、見てくれだけはいいけど、基本的に他人に興味が無いって言うか。……外面ばっか良くて他人に心開かなさすぎだし。特定の友達作んないって有名だったの。それなのに外見だけ無駄にいいから、勝手に周りが寄って来るっていうか……」
彼女は一体誰の事を話しているのだろうか? 自分の知っている圭斗とはずいぶんかけ離れているように思える。
「……随分詳しいんだな」
「そりゃそうよ。だって、小学校からの幼馴染だもん。ずっと昔からアイツの事見てるけどセンセーと居る時だけは楽しそうにしてるんだよね、アイツ」
「そ、そうか……」
言われて初めて、圭斗の事を自分はあまり知らないのだと気付かされた。そう言えば、圭斗の事に関して知っている事と言えば昔の自分に憧れを抱いている事と、央と幼馴染である事。地元ではかなり有名な資産家の息子である事。その程度だ。あとは、圭斗が自由奔放な性格をしていると言う事くらいか。
圭斗の好きな物も、趣味も、嫌いな物も知らない。知る機会は幾らでもあったはずなのに……自分は、本当に圭斗の事を見る事が出来ていなかったのだと痛感させられた。
「よし、完成。先生って元々美人だったけど、化粧したらもっと美人になった。……後はこのウイッグと白装束着たら完成……って、センセー?」
「あ、悪い。つーか、あんまじろじろ見るなって」
「え~、いいじゃん。ちょっとくらい」
自分の知らない圭斗を知っている彼女の存在に何となくモヤっとして、反応が鈍った。
居心地の悪さを感じてそっぽを向くが、麗華はそんな怜旺の様子に構う事なく衣装を選びウイッグをセットして行く。
「それにしても、センセーってばイケメンなのに勿体ない。髪の毛上げとけば男女ともにもっとモテそうじゃない?」
「別にモテたくて教師やってる訳じゃねぇし」
自分の顔は正直言って好きじゃない。昔から目立つ事が嫌いで、極力人目を避けて生きてきた。
顔を晒すのも好きじゃないし、この見た目のせいでトラブルに巻き込まれる事も少なくないから、コンプレックスと言っても過言では無いほど苦手意識を抱いている。
「俺はいいよ。このままで……」
「ふぅん。でもまぁ、怜旺センセーらしいね」
ウイッグと化粧で変わった自分を鏡越しに見ながら、やっぱり自分には似合わないなとぼんやりと思う。
「さて、次は衣装ね!」
麗華は楽しそうに笑みを浮かべながら、白装束を手に取った。
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