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ドキドキ文化祭 6

その後、央も無事に復活しバトンタッチして着替えを済ませ控室から出て来た所で、圭斗が入り口前に立っている事に気が付いた。  一人でただ立ってスマホを弄っているだけなのに、何故だか様になっている。これはモテるはずだとボンヤリ思いながら、一歩踏み出すとそれに気付いた圭斗がハッとしたように顔を上げた。 「なんだ。化粧落としたのかよ。あのまま女装してりゃ良かったのに」 「……ざけんな! 誰がするか!」 ニヒルな笑みを浮かべる圭斗の視線が居た堪れなくてフンっとそっぽを向くと、不意に肩を抱かれて引き寄せられた。 手を振り払い睨み付けてやると、圭斗は楽しそうな様子でククッと喉を鳴らして笑う。 やっぱり、圭斗は自分と一緒に居る時はよく笑う。この表情を自分だけが知っていると思うと、なんだか嬉しい。 「んじゃ、行くか」 「い、行くって何処に」 「決まってんじゃん。回るんだろ」 さも当然だと言わんばかりの圭斗に戸惑いながらも、一緒に行きたいと思っていた気持ちを見透かされたような気がして顔が熱くなる。 「……お前、何照れてんだ?」 「て、照れてねぇ!」 「あ! 圭斗だ、怜旺先生も。さっきはありがとねセンセ」 そっぽを向いた先に居たのは麗華だった。客引きの最中なのかお化け屋敷と書かれたプラカードを手に立っている。 「ねぇ圭斗。今からお昼でしょ? 私もちょうど休憩貰ったし、一緒に回ろうよ! 怜旺先生も一緒に」 「えっ?」 「は? なんでわざわざお前みたいなブスと回んねぇといけないんだよ」 冷たい視線と態度を向け、あからさまに嫌そうな顔をして圭斗は怜旺の腕を掴むと早足に歩き出した。 「ちょっ、椎堂!?」 「はぁ!? 何それ! ブスってほんっと感じわるっ!」 「ブスはブスだろ」 「キーッ! もう圭斗なんて知らないんだから!!」 麗華の悲鳴を背中に受けながら、二人並んで廊下を突き進んで行く。 「たくお前、よかったのか? 彼女ほおっておいて」 「いいんだよ。別に……。俺はアンタがいいんだよ」 「……っ」 本当にコイツは偶に心臓に悪い事をさらっと口にするから困る。 「んで? 何食いたい? アンタも麗華に付き合わされて昼飯まだだろ? なんか買おうぜ」 「お、おう……」 フッと笑って一歩先を行く圭斗の後を慌てて追いかけた。

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