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ドキドキ文化祭 7

行く先々で圭斗は視線を集めていた。髪色が明るいと言うのもあるだろうが、背が高い上に整った顔立ちをしている事もあり、模擬店を回るたびに色々な女子から声を掛けられる。 圭斗はさほど興味が無いのか、怜旺が一緒なのを言い訳に断りを入れてはいるが、それでも懲りずに声を掛ける女は多くて。 気にしなければいい、放っておけばいいと分かっていても、どうしても面白く無いし、モヤモヤする。 誰かと仲良くしている所なんて見たくなくて、もういっそ少し距離を置こうかなんて考えながら、たまたま立ち寄った雑貨を取り扱っているクラスの品をぼんやりと見ながら歩いていると、ガラスビーズで作られたブレスレットが2つ、怜旺の目に留まった。 黒と、金色に近いオレンジ色の硝子の玉が交互に組み込まれていて、特に金色の球は光にかざすとキラキラと輝いて、純粋に綺麗だと思った。 なんだか、圭斗に似ているような気がする。 「それ、欲しいのか?」 「別に。……ただ、ちょっと見てただけだ」 圭斗の視線と言葉にそっけなく答えてその場を離れる。 別に、欲しいとかそんなの思ったわけじゃない。ただちょっと見てたら、圭斗を連想してしまっただけで……。 どんだけだよ! と自分にツッコミを入れつつ、圭斗が友人に話しかけられているのを見て、そっと息を吐く。 廊下に出て待っている間、他の店で生徒達に無理やり買わされたミニクレープの包装を開けて口に運ぶ。 食べ歩きと言うのは行儀が悪い気もするが、偶にはこう言うのも悪く無い。 口いっぱいに広がる生クリームとイチゴの甘酸っぱさがマッチしていて、なんだかとても美味しく感じる。

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