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初デート? 3

黙って二人の様子を眺めていたら、突然こちらを振り向いた圭斗と視線が絡んだ。それと同時に小春がこちらの存在に気付き、「あっ!」と小さな声を上げバツが悪そうに視線を彷徨わせた。 「どうして、獅子谷先生がこんな所に……」 「あー、ちょっと色々あってさ。でも、安心しろよ。今回の事は秘密にしといてやるってさ、だからお前も、此処で獅子谷に会った事はナイショで頼むな」 「え、あ、うん……。わかった」 小春が頷いたのを確認し、圭斗は小春の頭を優しくポンポンと撫でる。その行動に再び胸の中がモヤモヤとしたが、それを表に出すわけにもいかず、グッと堪えるしかなかった。 「あー、腹減った。そろそろ行こうぜ。帰りのHRにアンタが居ないとまずいだろ」 チラリと視線を向けられ、怜旺はハッと我に返る。 「あ、あぁ……。そうだな」 終了時刻まであと40分。流石にそろそろ校内に戻らないと抜け出した事実がバレてしまう。 「じゃあ椎堂君。私先に行くね。……獅子谷先生もまた後で」 「おー、じゃあな」 ふわりと華のある笑顔で礼を言い、小春は校舎に向かって走って行った。 なんで学校を抜け出して男と会っていたのかは結局わからず仕舞いだ。 まぁ、自分も人の事は言えないので深くは追及出来ないが。 「あんたさ……。さっきちょっと妬いてただろ」 「妬いてない。自惚れんな」 圭斗の指摘を一蹴し、さっさと行こうと歩き出す。 「たく、ほんっと素直じゃねぇのな」 「うるせ!」 「痛ぇっ! だから、すぐ殴るなよ!」 圭斗の背中をバシッと一発叩いてやった。すると圭斗は恨みがましい目でこちらを睨んでくるのでフンッと鼻を鳴らして半歩先を歩き、一旦足を止めて手をそっと差し出した。 「……ほら」 「は?」 「手、出せって言ってんだよ」 「あ、あぁ……」 意図を理解したのか圭斗は少し躊躇った後に自分の手を重ねてきた。そっと握り返してやれば圭斗が「適わねぇな」とぼやき、困ったように笑う。 その様子に何となく照れくささが募り、握った手をしっかりと絡めつつ、そっぽを向いて再び歩き出す。 こんな行動一つで機嫌が良くなってしまうのだから自分も大概だな……と思ったと同時にたまにはこんな日があっても良いなと柄にもなく思った。

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