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初デート 15
「言いたくないなら言わなくていい。って、カッコつけたいけど、どうしても気になっちまう。アンタのあの動揺の仕方、あの男と過去に何かあったとしか思えないだろ」
「それは……」
「アンタからしたら俺はまだまだガキだろうし、頼りないって思われるのはしょうがねぇけど……。でも、好きな奴が目の前で辛そうにしてんの見て、何も感じないほど無関心って訳にもいかねぇんだよ」
「椎堂……」
圭斗の思いもよらぬ言葉に胸が詰まって苦しい。そんな風に思っていてくれたなんて、微塵も想像していなかった。嬉しい気持ちと同時に、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
自分が過去から逃げているせいで圭斗を不安にさせてしまった。圭斗はこんなにも自分を想ってくれているのに、自分はそれを素直に受け入れる事さえできないでいる。
何でも話せる関係になりたいと思っていながら、何処かで過去を圭斗に知られる事を恐れている。怖いのだ。過去に何が遭ったのかを知って、圭斗に嫌われるのが。
幻滅されて、見放されるのが怖い。それならいっそ、このまま誤魔化し続けた方が良いのではないかとさえ思う。
「話してくれよ。俺は、何があってもあんたを嫌ったりしねぇから」
こんな風に言われる資格なんて、自分にはないのに。そう思うと、無性に泣きたい気持ちが込み上げて来る。
圭斗はこんなにも真摯に向き合おうとしてくれているのに……。自分は逃げ続けてばかりだ。
そんな自分が情けなくて仕方がない。でも、そろそろ覚悟を決めないといけないのかもしれない。
この気持ちにケリを付ける為にも、過去の事を話すべきなのではないだろうか。
それがどんな結果になったとしても、圭斗ならきっと……――。
怜旺は一度だけ静かに眼を閉じた後、意を決したようにゆっくりと口を開いた。
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