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捜索 3
「先生って、どうして休日に椎堂君と一緒に居たんですか?」
「え?」
30分ほど辺りを捜索したが、手掛かりが一向に掴めず元のコンビニに戻って来た所で、都築がそんな事を聞いて来て怜旺は返答に困ってしまった。
何故、そんな質問が今飛び出したのか、皆目見当がつかない。
「先生がジャケットの下に着ているシャツって、水族館のですよね? しかもお揃いだなんて……」
「……っ、今はんな事言ってる場合じゃねぇだろ」
「大事な事です。アイツだけはやめておいた方がいいですよ。先生も知ってるでしょう? アイツは人の心が無いクズだって」
都築の言葉に、思わず眉を顰める。
確かに圭斗は、亮雅と一緒になって都築を苛めて遊んでいたらしいし、自分も少し前までそう思っていた時期があった。
だが怜旺は、圭斗が都築を苛めていた現場を見たことが無い。圭斗は仲間とつるんで悪さを働くような小物では無いし、そこまで陰険な性格はしていない。
圭斗がどういう人間なのかは、もうよく解っているつもりだ。
それに、圭斗は本当に人の心が無いような人間なんだろうか? 少なくとも、自分は違うと思うし、そうであって欲しいと思っている。
だがそれは、怜旺から見た主観であって、都築から見た圭斗は違うのだろう。
でも、今それを都築に話しても無駄だ。一度芽生えた不信感を拭い取るのは簡単な事じゃない。もしかしたら都築は本当に昔圭斗に虐められた経験があり、心に深い傷を負っているのかもしれない。
「実は僕、見ちゃったんです。アイツが僕の財布を触ってるの。今まで、怖くて言えなかったんですが……」
「……」
俄かには信じがたい話だった。だが、実際に財布の中身だけ抜き取られると言う事件がクラス内で起きていた時期があったのは事実だ。犯人はまだ捕まっていないが、圭斗ではないと信じたい。
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