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束の間 2

 「誰だよ。俺の知ってるやつか?」 「……憶測でものを言うわけにはいかないからな。確信が持てたら教えてやる」 「はぁ!? なんっだよそれ! 気になるだろ」 圭斗は納得がいかないと言わんばかりの顔で怜旺の肩にグリグリと額を擦り付けてくる。 こんな風に甘えてくるのは珍しいから、少し可愛いななんて思ってしまった自分に苦笑しつつ、顔を傾けてそっと圭斗の額にキスをしてやった。 「……する場所間違えてんぞ」 額へのキスがお気に召さなかったのか益々拗ねたように口を尖らせるのが何だか可笑しくて、こんな状況なのに思わずぷっと噴き出してしまった。 「んだよ、笑うなっての」 「ハハッ、悪い。犯人の目星は付いてるけど、まだ自信が無いんだ。間違った情報を教えて、もしも違った場合、ソイツに迷惑かけちまうだろう? 教えないとは言ってないんだから、少しだけ我慢な」 なおも納得いかないといった表情をする圭斗の顎や頬にそっとキスをして顔を上げると視線が絡んだ。 目の前には大好きな恋人の顔。視線が合うだけでドキドキしてしまう自分がいる。 そっと首の後ろに腕を回すと、圭斗はそれを合図にゆっくりと顔を近付けて来た。 「ん……」 触れるだけのキスから始まって、何度も何度も角度を変えて触れ合いを繰り返しながら深いキスへ。段々と熱を帯びてくる呼吸に甘い吐息が混ざり始めた頃。 唇が僅かに離れた瞬間に圭斗の口から「なぁ」と声が零れた。 「ん?」 どうしたのかと視線を向けると、彼は何やら言い難そうに唇をモゴモゴさせている。 「……今日、泊っていけよ」 「……本当に、お前の両親帰って来ないんだろうな?」 「大丈夫だって。母さんたちは温泉旅行に行ってるってさっきも説明したじゃねぇか」 確かにそう聞いた。それでも不安になってしまうのは、バレたら困るのは自分だけではないから。 これが男女の恋愛だったら……いや、自分が教師である以上、二人の関係はどのみち世間では簡単に受け入れられるものでは無い。 つい、考え込んで神妙な顔つきになってしまった。 圭斗はそれが気に入らなかったのか、湯の中で伸びて来た圭斗の手が突然怜旺自身を捕らえた。 「わ、ちょ……何処触ってっ」 優しく包み込むように揉みしだかれ、親指の腹で先端を抉られると嫌でも身体が反応してしまう。

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