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反旗を翻す

「……iPodを隠して圭斗に罪を擦り付けようとしてたのは、都築なんだ」 その日の午後、波多野、都築の順で話を聞いた怜旺は、疲れ切った表情で圭斗と亮雅の二人を纏めて部屋に通した。 席に着いたのを確認し、口を開きかけたところで、いきなり亮雅からそう切り出して来た。 一体どういう風の吹きまわしだろう? 圭斗と怜旺は不思議そうに互いに顔を見合わせる。 「それだけじゃない。小春の家出未遂も、アンタに対する強姦未遂も全部、アイツが仕組んだものだ」 「……っ、なん、だって?」 想像していなかった言葉に、怜旺は困惑した。小春の件はおおよその検討は付いていたが、まさか自分が襲われた件も都築の仕業だったとは思わなかった。 「おい、亮雅いい加減な事言ってんじゃねぇぞ。 獅子谷を襲ったのはテメェだろうが」 動揺する怜旺の肩に圭斗が触れた。庇うように前に出ると亮雅を鋭く睨み付ける。 「この人は優しいからお咎めなしだっただけで、本来ならテメェも都築も退学もんだぞ。同類のクセになに都築だけが悪者みたいに言ってんだ」 「それは……っ、都築がどうしてもっつーから。獅子谷はやべぇから、俺は止めとけって言ったんだ! 大体、お前こそ人の事どうこう言えた立場かよ」 亮雅のツッコミに思うところがあったのか、圭斗は勢いを失くして口籠る。 気まずい空気が二人の間に立ち込め、圭斗は行き場のない苛立ちを何処にぶつけたらいいのかわからないと言った様子で、舌打ちするとフンっとそっぽを向いた。 「くだらねぇ。俺は別にいなくてもいいだろ? どのみち最初っから俺から聞く話なんて何もねぇだろうが」 後は任せたと言わんばかりに、怜旺の肩をポンポンと叩くと圭斗は部屋を出て行ってしまった。

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