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反旗を翻す 2

「なぜ突然、そんな話をする気になったのか聞いてもいいか?」 正直、亮雅は自分の事を嫌っているのだと思っていた。都築が何を考えて居るのかさっぱりよくわからないが、彼の行動の矛盾点には薄々気付いてはいた。 自分に対する言動と、行動には大きな違和感がある。亮雅や圭斗に虐められていると言っていたわりにはいつも亮雅の側にいるような気がするし、時々見せる悪意のある顔は絶対に偽物じゃない。 最初は猫を被っているだけなのかと思っていたのだが、亮雅の話を聞く限りではそんな生易しいものでは無い気がしてきた。 今回の件もそうだったように、無関係を装って他人を貶めようとするところに性格の悪さが如実に現れている。 何か目的があって自分を陥れようとしているのか? それとも都築は、また演技をしているのか? 疑心暗鬼に陥る怜旺に、亮雅は何か考えるような素振りを見せると、一つ溜息を吐き出して言葉を紡ぎ始めた。 「なんで……か……。そうだな、しいていうなら、アイツのやり方に付いていけなくなったから……かな」 アイツ……とは都築のことだろう。都築に対する不信感が彼を変えたのだろうか? 「アンタだからぶっちゃけっけど、俺、去年までアイツと付き合ってたんだ」 「は?」 もはやどこから突っ込んでいいのか、怜旺は困惑した。都築と亮雅が付き合っていた? 一体どういう経緯でそんな関係に至ったのか、全く想像できない。 そんな疑問が顔に出ていたのか、亮雅がふっと笑う。 だがその笑いはいつもの様な勝気なものではなく、とても寂しそうに見えた。 「アイツさ、昔はああじゃなかったんだよ。自分が弱いつー自覚はあったみたいだから、強い奴に憧れを抱いてんのも知ってたし。お人好しですっげぇトロくて、そのくせ、妙に正義感だけは強くて、いっつも自分からトラブルに突っ込んで行くんだ。んで、俺に助けてくれって縋り付いて来てさ」 亮雅は一旦言葉を切ると、炎のように赤く染めた短髪をくしゃりと搔き上げ、切なげに眉を寄せた。

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