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反旗を翻す 3
昔を懐かしむような、どこか寂し気な顔を見せ、もう一度息を吐く。
その話の流れからすると、都築と亮雅の関係は健全だったように思えて来て、ますますわけがわからなくなった。
「でもお前、便所で都築を苛めてただろ。それに、階段から突き落としたり……。好きだったヤツになんでんな事出来るんだ」
「虐めてねぇし。アレは演技だ……。言ったろ、都築は強いヤツが好きだって。俺よりアンタの方が強いって分かったら、あっさり鞍替えしやがって。意味わかんねぇし……」
その時の事を思い出したのか、亮雅は心底嫌そうに顔を歪めた。
だが、それは本気で怒っていると言うより、怜旺に対する嫉妬の類のような気もして、思わず言葉を飲み込む。
予想もしていなかった亮雅と都築の真実を聞かされ、怜旺は戸惑いながらどう返事をしたものかと眉根を寄せる。今まで信じてきたものが全て崩れた気分だ。
「アンタの興味を引きたくて、わざと階段から突き落とせって言ってみたり、あの時間、あのトイレにアンタが来るとわかってて虐めてるフリをしろって言って来たり……。まぁ、俺も圭斗の事でムカついててアンタの事痛めつけてやろうって思ってたし、利害の一致ってヤツ? まぁ、想像以上にアンタは強すぎて、手を出しちゃいけない奴だってすぐに気付いたけどな。結果的に千尋はやることなす事全部裏目に出てるし。もう、関わるのは止めろって何度も言ったのに、聞きやしねぇ。千尋は、アンタを自分の物にしたくて必死なんだよ。なのに、アンタの側にはいつも圭斗が居るだろ? どうもそれが気に入らねぇらしいわ」
「なんだそりゃ。かまってちゃんをギュッと濃縮したようなヤツだな」
突拍子もない発言に、怜旺は脱力して机に突っ伏した。いささか理解に苦しむが、確かそんな精神疾患があったような気がする。
それに、別れた相手の奇行に付き合う亮雅も亮雅だ。そのせいで、何度も怜旺に酷い目に遭わされてしまっているのだ、普通は嫌にならないのだろうか。
「……お前、もしかしてドMか」
「は!? ちげーし!!」
なんだ、違うのか。 じっと亮雅を見つめると、彼は少し不貞腐れたように唇を尖らせ、小さく咳払いした。
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