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反旗を翻す 4

「ちょっと前まではああじゃなかったんだよ。アイツの気まぐれに付き合ってればそのうち飽きて、元の千尋に戻るんじゃねぇかって思ってた。でも、アイツはどんどんおかしな方に行っちまって、手が付けられなくなって……。あそこまで執着するような奴じゃなかったんだけど」 「何か思い当たる節は無いのか?」 怜旺の問いに亮雅は一度目を伏せた。言ってもいいものかと迷っていた様子だったが、意を決したように顔を上げると、ゆっくりと口を開く。 「思い当たる節って言っていいかどうかはわかんねぇけど……。2年に上がる少し前。急にアイツが別れたいって言い出したんだ。それまで、喧嘩らしい喧嘩なんてしたことも無かったし、嫌われるような事もして無いつもりだったから、本当何で別れたいのか理解が出来なくて……。俺は別れたくないって何度も言ったんだけど、もう千尋の中で結論は出ちまってたみたいで、何を言っても無駄だった。それで、何となく気まずいのと、千尋の態度にムカついてたのもあって、アイツから離れて圭斗とつるむようになったんだ。 圭斗といれば女なんてやりたい放題だったし、喧嘩吹っ掛けても大抵は勝っちまう。バカ騒ぎやんのも嫌いじゃなかったし、女とヤんのはそれなりに気持ちよかったし、しばらくはそれでよかったんだ。でも――……」 亮雅は一旦そこで言葉を区切ると、姿勢を正して怜旺を見詰めた。まだ迷いや葛藤があるのか、言葉を模索しているようだったが、諦めた様に頭を振ると、視線を落として唇を引き結ぶ。 「俺、見ちまったんだ。千尋が黒服の男に金を渡して、何かを受け取ってるとこ……。アイツはどう見てもカタギじゃねぇ。どう見てもヤバい事に関わってるだろ?  だから、あんな奴とは付き合うなってアイツに忠告したんだ。 まぁ、聞く耳なんて最初から持ち合わせて無かったけどな。なにを言っても、いざとなったら怜司さんが何とかしてくれるから大丈夫つって、そればっかり」

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