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反旗を翻す 7

そうこうしているうちに、にわかに周辺が騒がしくなった。騒ぎを聞きつけた他の教師が数名何事かと此方の様子を伺っている。 「……話は後だ。とにかく、今回の件は俺一人で動く」 何があっても意見を曲げないと言った怜旺の意思を感じ取り、圭斗は拳をグッと握りしめると、チッと盛大な舌打ちを零した。 「……もういい」 それだけ言うと、圭斗は遠巻きに見ていた教師を押し退け何処かへ去って行ってしまう。 「良かったんすか? 圭斗、めちゃくちゃ喧嘩強いし、一人より二人の方が有利なんじゃ……」 背後から、亮雅のそんな声がする。 「いいんだ。アイツに万が一の事があったら、俺はきっと判断が鈍る。自分の目の前で、アイツが怪我をするのは見たくないからな」 もっとも、今すぐにどうこう出来るような問題は無いから、少し言い過ぎたかとは思ったのだが。 「……先生って、言葉が足りないとか言われないか? それ、圭斗にちゃんと言ってやればよかったのに」 「うっせ。ほっとけ」 拗ねたように顔を背ける怜旺を見て、亮雅はニヤニヤと楽しそうに笑う。そんな視線を受け流し、怜旺は亮雅に向き直ると、彼を正面から見据えた。 「とにかく、アイツの事は置いといて、まずは情報収集だ。お前は、何かあればどんな小さなことでもいいから俺に教えろ。間違っても勝手な事するんじゃねぇぞ。 危険だと判断した場合は直ぐに俺を呼べ。いいな?」 恐らく都築は、明らかに寝返ったとも取れる今回の亮雅の発言を警戒して、暫くは大きな問題行動を起こさないだろう。 だが、頭の切れる狡賢くて粘着質な男だ。なにかしら次の手を考えて来るに違いない。 なぜそこまで自分に執着してくるのか皆目見当も付かないが、理由を考えるだけ時間の無駄だ。 それよりも、今は都築と黒服の関係や、手を組んだ経緯など、徹底的に調べ上げる必要がある。

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