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決意 2

「冗談だって。そんな怒んなよ」 「誰のせいだ」 「俺の所為。わかってんだけどさ、アンタが他の男に取られないようにマーキングしときてぇんだよ」 そのままぎゅっと抱きしめられて、怜旺は言葉に詰まった。 「こんだけ付けられたら誰も手ぇ出そうとは思わねぇだろ。どうすんだよ、コレ……」 バスローブの中はそこかしこに赤い徴が散らばっている。太腿の内側、背中、胸……と数えたらキリがない。 正直、明日からしばらくはハイネックを着て行かなければならなくなってしまった程だ。 「ワゴン車の中に居るアンタを見た時、自分でも信じらんねぇ位動揺しててさ、マジでアイツぶん殴ってやろうかと思った」 抱き締める圭斗の指の力が強くなり、悔しさと怒りを滲ませた声が耳朶に響く。 あの時、都築をタコ殴りにしなかった事は称賛に値する。 都築のあの性格なら、万が一怪我をさせてしまった場合、圭斗に暴力を振るわれたと学校に訴える可能性だって0じゃなかった筈だ。 圭斗が自分を好いてくれていることは痛いほど伝わって来る。それが嬉しくてくすぐったくて、怜旺は圭斗の胸に身体を預けると背中に手を回した。 「……もう他の人に抱かれたりしないから安心しろよ」 ボソリと告げた言葉に、腕の力が強くなる。それはまるで離さないと言われているようで、目頭が熱くなるのを感じた。 「俺も、無理だってわかった。お前以外に触れられるのは……気持ち悪くて仕方ねぇ。親父とも、距離を置こうと思てる」 ずっと、考えて居た。どれだけ酷い目に遭わされても、愛されていないとわかっていても、たった一人の血を分けた家族だ。 簡単に切り捨てられるわけじゃない。 いつか、昔の優しい父に戻ってくれたらと願っていたが、それももう限界を超えてしまった。 都築を仕向けたのが偶然だったのかはわからないが、もう父親の言いなりにはなりたくない。傍に居たくないと……心底思ったのだ。

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