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決意 4

「マジで?」 圭斗が目を輝かせて、顔を覗き込もうと身を乗り出して来るのがわかった。 「っ、授業も真面目に受けて、赤点もなし。ちゃんと留年せずにストレートで卒業出来たらの話だ」 「うぇ、マジかよ。ちょっと厳しすぎねぇ?」 圭斗がわざとらしく不貞腐れたような顔をした。その表情が妙に子供っぽく思えて、怜旺は小さく笑みを零した。 普段は見る事の出来ない、このただの少年ぽい所が可愛くて、愛おしい。 圭斗がこんな表情をする事を知っているのは自分だけだと思うと堪らない気持ちになる。 「当然、だろ? まぁ、わかんねぇところあるなら教えてやるし」 「夜の個人授業付きで?」 「っ、ばーか」 冗談めかして笑う圭斗に、軽く腹パンを食らわせてから怜旺も笑って返す。 (幸せ、だなぁ……) 好きな人と触れ合って、笑い合って。今がとても幸せで満ち足りた時間だ。 だが、その前に片付け無ければいけない問題が山積みなのは変わらない。父親の件はもちろん、都築をどうやって懲らしめてやるか。 今後の身の振り方について……考えなければならない事は山ほどある。 「その事なんだけどさ」 腰を引き寄せ、抱き込むようにして怜旺を腕の中に閉じ込めた圭斗が、笑いを収め真剣な眼差しをこちらに向けてきた。 さっきまでの甘い雰囲気が少し変わり、怜旺は居を正すようにして圭斗に向かい合う。 「俺を騙そうとした女から色々と聞き出したんだけど……。アンタ、怜司って男を知っているか?」 聞き覚えの無い名に、怜旺が怪訝そうな顔をして首を傾げると、圭斗はスマホを操作して一枚の画像を怜旺に見せた。 そこに映っていたのは、小春の事件の際下っ端を助けたあの奇妙な男。白髪交じりのオールバックが特徴的で、両腕にびっしりとタトゥが刻まれている。 「コイツが都築に接触して色々と吹き込んでいたらしい。噂では、アンタを狙ってるって話も聞いた」 怜旺は険しい表情でその画像をじっと見つめると、何かを思い出すように眉を寄せた。

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