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決意 5

「……そうか」 「コイツの事、知ってんのか?」 知っていると言えば知っているし、知らないと言えば知らない。その男は恐らく、昔、自分をしつこく勧誘して来たアイツに違いない。 もう、10年以上も昔の話だし、白髪も増え、風貌も随分変わってしまっていたから気付かなかった。 「いや。俺がヤンキー辞めるきっかけを作った男だ。多分、な」 「は?」 「昔、自分の組に入れってやたらウルセェ男が居たんだよ。毎日毎日しつけぇし、ウゼェし、面倒くさいしで色々あって、髪型も見た目も変えて、普通の一般人に紛れることを選んだんだ。元々、どっかの組に属するとかそんなタマじゃなかったし、興味も無かったしな。 ……自分で諦めが悪いって言ってたけど、マジでしつけぇな。あのオヤジ」 まさか、まだ自分を捜しているなんて思ってもいなかった。上手く一般人に紛れられたと思っていたのに。 今の学校に来て、少々暴れ過ぎたか。それとも……。 怜旺は改めて、圭斗を見た。 伝説の男。小さき百獣の王と呼ばれていた自分に憧れて、当時の自分と同じ髪型を好んでしている彼。 圭斗と一緒に過ごしているところを目撃し、何か気付くきっかけがあったのかもしれない。 いや。この場合、都築がこの男に情報をリークした可能性の方が高いだろう。 もしかしたら、自分の父親をおかしな道に引き込んだのもこの男かもしれない。いや、流石にそれは考えすぎ……か? 「……面倒なのが絡んでんな。八神が見た黒づくめの男っつーのは、恐らくコイツの事だろう」 深い溜息を吐いて、無意識に自分の腕を擦り、ブレスレットを壊されてしまった事を思い出し慌ててバスローブの裾を引っ張って隠した。 今更かもしれないが、圭斗に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

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