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襲撃

薄暗い夕闇の中、指定された倉庫の中だけが煌々と明かりが点っている。 中からは、圭斗の苦しそうな呻き声と男の笑い声が聞こえてきて、怜旺の心臓は嫌な音を立てて早鐘を打った。 今すぐにでも飛び出して乗り込んでいきたいところだが、まだ駄目だ。 深呼吸して、倉庫の周囲に他に人の目がないかを確認する。幸いにも人通りはなく、窓から中を覗くと、圭斗は後ろ手に縛られた状態で床の上に転がされていた。 「……っ」 落ち着け、怒りに任せて闇雲に飛び出しては駄目だ。こういう時程冷静にならなくては。 深呼吸を繰り返し、脳に酸素を送り込んで頭をフル回転させる。 「どうするんっすか?」 「どうもこうもねぇ。行くっきゃねぇだろ。部屋ん中に居るのはだいたい10人くらいか? 怜司とか言うふざけた野郎以外は雑魚だな。お前は、まっ直ぐ都築の所へ行け。後は全部俺が殺る。言っておくが、くれぐれも油断するんじゃねぇぞ」 「わかってるって。ガキの喧嘩じゃねぇ、って言いたいんだろ?」 八神はやれやれ、と溜息を吐くと、手に握っていた髑髏のネックレスを首に掛け、グイとネクタイを乱暴に緩めた。 「行くぞ!」 「おぅ!」 掛け声とともに立ち上がり二人は同時に扉を蹴り破った。倉庫内は鉄臭い匂いと煙草の混ざった煙で充満しており、不快感が募る。 この間は、小春の事で気が動転してよく見てはいなかったが、壁を見るとダーツ代わりにしたポスターに何本ものナイフが突き刺さって笑顔の青年を穴だらけにしてある。 「なんだ、お前。随分小せぇのが来た――」 間髪入れず、見張りと思しき男の腹に力いっぱいの拳をめり込ませる。 「ぐはっ!」 「ちいせぇは余計だつってんだろ。たく、どいつもこいつも馬鹿のいっちょ覚えみたいに……」 吐き捨てるようにそう言って、鋭い視線で睨み付ける。 ピリッとした空気に圧倒されたのか、一瞬怯んだのを見逃さず、間髪入れずに男を蹴り飛ばし、床に転がった所を上から頭を踏みつけた。

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