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真相2

「う、ぐ……っクソ……ッ」 「何のマネだ虎徹……。嫁さんが死んで思い悩んでいるお前を助けてやった恩を忘れたわけじゃねぇだろうな?」 怜司が虎徹と呼んだ男を睨み、冷たい声で言い放つ。これは一体、どういう事だろう? 自分の父が怜司とつるんでいる可能性を考えなかったわけでは無いが、それは限りなく低いと思っていた。 だが、パサリと落ちたフードから覗く白髪交じりのぼさぼさの髪、鋭い眼光。そして何より、このガタイのよい身体つきを見間違う筈もない。 「五月蠅い! 知らなかったんだ……。アンタの家族が……里奈を殺したヤツだったなんて……ッ!」 悲痛な叫び声にも似た声を上げて、虎徹は頭を掻き毟りながら悔し気に顔を歪ませる。 「知った所でどうなる? ヤク漬けになって、ひと時でも辛さを忘れられたんだ。そのお陰で、お前はこうして今も生きていられる。むしろ感謝してほしいくらいだ」 不愉快極まりない声が部屋に響き、怜旺は歯の根が痛くなるほどにギリギリと奥歯を噛み締めた。腸が煮えくり返り、今にも爆発しそうな激情を必死で押し殺す。 「……お前だけは、ぶち殺してやる!!」 蹲ったまま、激昂した父が怜司に対する憎悪を露にし、感情の昂ぶりを映すように炎のようなオーラがゆらりと立ち上る。 「ハッ、ぶち殺す? やってみろ。ろくに戦いも出来ないくせに口先だけは一人前だな。 大体、お前の事なんてハナから信用してなかったんだ。まさか10年もの間、俺の目を欺いてコイツを隠してるとは思いもしなかったけどな」 怜司は嘲るように鼻で笑い、懐から拳銃を取り出し父へと銃口を向けた。 「く……ッ」 「おいおい、随分と物騒なもん持ってんな。オッサン」 不意に聞き慣れた声がして、一斉に視線がそちらに集まる。 「圭斗!」 「悪い、足の縄切るのに時間掛かっちまった」 ライトに照らされた金髪がゆらりと光を反射し、手首をぽきぽきと鳴らしながら不遜に微笑む姿は、まさに救世主。 「アンタ、怜旺の親父さんだろ? 俺、アンタの事は大っ嫌いだけど、性根迄腐ってたわけじゃなさそうで安心した。 ナイフ、サンキュ。助かったよ」 怜司と父の間に立ち塞がると、圭斗は持っていたナイフを父の方へと放り投げ、口端を吊り上げた。 「く、くそ……っどいつもこいつも使えねぇ奴ばっかだな」 圭斗の登場で予定が狂ったのか、怜司が怯んだ。 「っ!」 その一瞬の隙をついて、腕に抱きこまれていた都築が突然手足をばたつかせて抵抗を始めた。 「くそ、いきなりなんだっ!」 「く、離して……ッ! 」 怜司が慌てたように腕を緩めると、その隙に都築は腕の中から這い出し距離を取ろうと後ずさる。だが、その動きを読んでいたのか銃口が父親から都築の方へと向けられ――。 「千尋……!!」

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