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許さない 2
瞬く間に間合いを詰めると、腹に渾身の力でパンチをめり込ませ、怜司の手から拳銃を弾き飛ばすとバランスを崩して倒れ込んだ怜司の上に馬乗りになった。
「お前が……俺の家族を……父さんを壊したんだ……!」
何度も何度も、怒りのままに拳を振り落とす。骨が軋む鈍い音と、肉が潰れる嫌な音が入り混じる。
自分の中にこんな激情があるなんて知らなかった。今までずっと押さえていた激情が堰を切ったように溢れ出し、もう止めることが出来ない。
胸倉を摑み、顔を殴りつける。殴りすぎた拳の皮が捲れ上がり血が滴り落ちるが、痛みなど感じない。
「お前のせいで……っ! 俺は……っ、……ッ!!」
「怜旺!」
殴られた拍子に怜司の口から出た血反吐が怜旺の白いシャツを汚していく。それでも止めない拳に慌てたような圭斗の声が響き後ろから羽交い絞めにされた。
「離せ! こいつだけは絶対に許さない!! こいつだけは……!!」
「怜旺、落ち着けって! それ以上やったらマジで死ぬぞ! 顔、変形してんじゃねーか!」
「うるさい! 離せっ! 殺す! 絶対に殺してやる!!」
渾身の力を込めて圭斗の腕を振り解こうともがくが、がっちりと摑まれていてびくともしない。足をばたつかせて腹を蹴り上げるが、それでも手を放そうとはせず、それどころかより一層強い力で拘束されてしまう。
「クソッ! 離せ!! クソッ!!」
「落ち着けって怜旺!! もう、わかったから……」
強い力で抱き締められ、全身を包み込むような声色に、徐々に落ち着きを取り戻す。
「大丈夫、大丈夫だから……。悔しいのもわかるけど……暴力じゃ何も解決しないって、自分でもわかってんだろ?」
「……っ……く……」
穏やかな声で諭され、ポンポンと背中を優しく叩かれて、強張っていた身体の力が抜けていくのを感じた。
ゆっくりと拳を降ろすのと同時に堪えていた涙が溢れ出し視界が滲んでいく。
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