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終焉5
「……なんだよ。離せって」
「やだ」
「ヤダって……」
駄々っ子のような事を言われ、子供かと突っ込もうとしたが、背中越しに感じる圭斗の鼓動は、いつもよりもずっと早くて。
「頼むから、もう少しこのままで居てくれ。……今アンタを離したら、そのまま何処かに行っちまいそうな気がして、不安なんだ」
「何だよ、それ。何処にも行かねぇよ」
そう言って肩越しに振り返ると、今にも泣きそうな顔をした年下の恋人がそこに居て。
怜旺は何も言わずに彼の方に向き直ると、少し背伸びをして彼の額に口づけた。
「俺は何処にも行かないから、そんな顔するな」
「……ほんとだな?」
「あぁ。約束する。それに、親父の事も待っててやんなきゃなんねぇし。戻って来たってどうせ社会復帰には時間が掛かるだろうから、俺が側にいて養ってやんねぇと」
「アンタらしいな。……でも、もうデリヘルは禁止だかんな!?」
「……っ、もうしねぇよ。俺は、お前専用だって言ったろ?」
「痛ぇッ!」
コツンと軽く頭突きを喰らわすと、圭斗は大げさに痛がって見せる。そのわりには、顔は嬉しそうに綻んでいるが。
「帰るぞ。腹減ったし」
「そうだな。なぁ、今夜アンタん家泊ってもいい? 親父さんいねぇし」
「ダメに決まってんだろ。流石に2日連チャンは俺の腰が持たねぇよ」
「なーにやらしい事想像してんだよ。俺はただ、泊っていいか聞いただけなのに」
「う、うるせぇな! 」
「う、うるせぇ! お前が何もしないなんて、あり得ねぇだろ! でもまぁ……。どうしても来たいっつーなら……、泊めてやらなくもないけど……」
言いながら段々と恥ずかしくなって、語尾がどんどん小さくなっていく。
圭斗を肩で押しやりさっさと歩き出した怜旺の後姿を眺めながら、圭斗は幸せそうに笑った。
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