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R18★最後の夜にキミの初めてが欲しい
互いに大荷物をガラガラ引きずりながら、いつもの駅から数駅下り方面。
近くに大きな公園があって自然豊かなところが気に入って引っ越しを決めた、俺の住むマンションに着く。
「マジで狭いでしょ?ごめんね」
1DKの部屋は、本来ならダイニングの場所を、絵を描いたり作品を保管したりするスペースにしてしまっているので、おかしな意味で生活感がない。
「あ、こっちはまだ人間の暮らせるエリアだから」
開けっ放しのドアの向こうは、シングルベッドと少しの収納の一応寝室。
まさかソファンを呼ぶとは思ってもいなかった。脱ぎ捨ててあった部屋着を端に放る。
ファミレスで食事は済ませてきた。
遅くまで開いていたドラッグストアの前でソファンを待たせ、ゴムに加えてチューブタイプの潤滑剤を買った。男は勝手には濡れてくれない。足りなかったら、と考えて二本も。
それを買ったことをソファンは知らない。
キスを喜んで受け入れてはくれた。でもソファンはもう、好きな男とのセックスにこだわっていないかもしれない。
俺は男同士は未経験だけれど、明日にはソファンは日本からいなくなってしまう。
遠まわしなことはなしに、直球で誘うのがいいと思った。
「ソファン、おいで」
ベッドに腰かけその隣に招くと、少し距離を置いて座るから腰を引き寄せてやった。
片手を頬に添えると、恥ずかしそうに目を逸らしながらも、その手に自分の手を重ねてきた。
ちゅ、と唇を重ねる。
すぐには離してやらない。無抵抗なソファンの唇を、角度を変え何度も啄む。
「んっ」
と甘ったるく漏れた息に堪らなくなって、舌先を差し込んだ。ソファンの身体がぴくんと震える。
嫌がられてはいない。ソファンも懸命に舌を絡めてくれる。その舌先をじゅるっと吸ってやると、きゅうんと声にもならない可愛い呻きが聞こえた。
「ヤバい。声可愛すぎ」
ピアスの耳元に吹き込む。
いつの間にか、俺はソファンの頭と腰をがっちりホールドして、ソファンは両手で俺の背中にしがみついていた。
「……ソファン、エッチしたい。めちゃくちゃ抱きたい」
けれどソファンは首を縦に振らない。
「……僕は男です。航平さんは女性の方が好きでしょう?僕じゃ満足させられません」
たしかに俺はノンケなんだけれど。
ソファンの手を掴んで、硬くなりかけた俺の股間に服の上から触れさせる。
「わっ……!」
「今のだけでちょっと勃っちゃった、ごめん。……俺さ、ソファンの初めてが欲しいんだけど」
そうしたら俺のことを忘れないでいてくれるかな、なんて女々しい考え。
「僕の初めてに価値なんてないですよ」
「俺にとってはすっごいあるの。こんな可愛くて素直でいい子、俺なんかがもらってもいいのかなぁなんてちょっと思わないこともないけど、さっき帰りに買ってきちゃったから」
そうしてさり気なくベッドの下に置いておいた、ゴムと潤滑剤を見せる。
即物的な物を見せられ、ソファンが口元を手で覆う。
「あ……ドン引き?」
「いいえ、違います。……本気、なのかなって」
「本気に決まってんだろ」
そうしてまた座ったままの体勢でソファンをきつく抱き締める。彼は俺の肩口に頭を擦り寄せ、おそらく考えている。シてもいいかどうかを。
密着したままでは限界が来て、無理やりに襲いかねない。
「ソファン。俺、シャワー浴びてくるからその間に考えてて?で、もしシてもいいかなって思ったら、俺の後でシャワー浴びな?」
念入りに身体を洗ってから、腰にタオルを巻いて寝室に戻る。
その仁王立ちの姿を見て、ソファンが一瞬ギョッとした表情を浮かべる。
しかし少し俯いてから立ち上がり、俺の前へと歩み寄ってきた。
「……シャワー浴びてきます」
俺の両腕を掴み、きっとだいぶ頑張って背伸びしながら。
ちゅっ、とキスされてしまった。
俺は固まる。
「へへ……」
不意打ちのキスからの照れ笑いは反則すぎた。
この後どう抱こうかとイマジネーションがあふれ出て渦巻いて、今だったらいつもと違う雰囲気の絵が描けそうだった。しかしそれどころではない。
「……舐めてみてもいいですか?」
「してくれるの?すげぇ嬉しい」
ベッドに腰かけた俺の脚の間に、ソファンがぺたりと座り込む。
腰に巻いていたタオルを剥ぐと、わずかに硬くなりつつあるソレにソファンの手がそろそろと伸びてきた。
軽く握られただけでグンッと張り詰めてしまって、我ながらカッコ悪い。
だってもう会うこともないと諦めていた愛おしい子と、最後の夜にやっと想いを伝え合えた。そしてセックスの手始めにとフェラしてもらえる。昂らないはずがない。
ちゅ、ちゅ、と亀頭に口づけられ、控えめにぺろりと舐められる。
「うぁ……」
俺が小さく呻くと、ソファンが上目遣いに見上げてくる。
「ん……上手。気持ちイイよ、すっごい」
指通りの良い黒髪を撫で褒めてやる。
するとソファンはどんどん大胆になり、先端を頬張り、そのまま中ほどまで咥え込んでしまった。
くちゅくちゅと唾液を絡めながら、懸命に唇と舌で扱いてくれている。
口に収まりきらない根元はしっかり手で扱いてくれて、時折膨れた玉までくすぐってくれる。
ソファンは男とのセックスは未経験のはずなんだけれど、どうにも上手すぎる。
舐めて、しゃぶって、咥えては唇で扱いて。
「んッ、ん、んん……んむ、ん、ぅん……」
その吐息の混じった声にも煽られる。
あざとすぎないところが、そういうお店の女性なんかより断然イイ。
不意にじゅる~っと強く吸われ、慌ててソファンの頭を離す。
「ちょ、ちょい待ち!……うぁ~、ダメだって。もうそれ以上はマジで出るかもしれないから」
「ん?出していいですよ?」
「いや、そこはさ、もっと長く楽しみたいから。つーか、何でそんな上手いの?」
実はどこかでテクニックを仕込まれてきたのかと心配になる。
「ネットとかで勉強してました。いつか男の人とできるように」
「はー……それならいいんだけど」
さて、気持ちは安堵したのに対し、性欲は極限まで高められてしまった状態。
部屋の電気は消されてしまっている。開け放したドアの向こうから漏れてくる灯りのみ。
暗さに慣れてきた目で見下ろすソファンの姿は、口の周りを唾液でいやらしく光らせ、白い太ももがタオルから覗いている。
ああ、男の子の身体をこんなにもエロく感じ欲する日が来るなんて。いや、しかし。
──ソファンはタオルで胸までしっかりと隠している。
上から見下ろしていても谷間なんてない。膨らみがあるはずもない。
「ソファン、こっちおいで」
ベッドの上へ引っ張り上げる時も、タオルがズレないように胸元を抑えている。
こうして上まで隠してくれていると、華奢さや肌のツヤ感も相まって女の子に思えないこともないけれど、今の俺は他の誰でもないソファンに触れて抱きたい。
抱き締めながら容易く押し倒せた。
そういえば左耳のピアス、いまだにつけていてくれている。
ただデザインを気に入ってつけているのではなく、俺が作った物だから、なのはもう確実だ。
その耳まで赤く染め、不安げに俺を見上げている。
「いい?」
取ってもいい?裸見せて?
の意味合いでタオルの胸元をつまむと、両手で必死に制してきた。
「ダメ?」
「僕……女の人じゃないから……胸、ないし……し、下もついてるし……」
だからノンケの俺が萎えてしまうのでは、と怯えているのか。
「バカ、知ってるよ、ソファンが男の子なのは。最初会った時から」
「……嫌われたくないです、最後なのに」
最後。
その言葉に、頭の片隅には置いていたタイムリミットを思い出す。明日の昼頃の便では帰ると言っていた。
一緒にいられる時間は、もうわずか。
「……無理だ。ごめん」
ソファンの首すじにがばりと顔を埋める。唇を寄せると同時、ほのかに知った香りが漂った。
「あれ?あの香水、つけた?」
「あ、はい……航平さん好きかなって思って、シャワーの後に……」
「あのさぁ……めっちゃ煽るじゃん。最近ずっとこれつけてたもんね。エロい匂いで俺のこと誘ってた?」
それに対する答えはなかった。
それでも細い首すじに幾度もキスを落とす度に、
「はァ……ぁ、は……」
と控えめな吐息を漏らす。
「ちょっと痛くするかも」
「はぇ?……んあッ!?あッ、あッ、だめ……!」
軽く歯を立て吸い上げたそこには、鬱血の跡がくっきりと残った。
「これでソファンはもう俺の恋人」
ニッと笑いかけてやると、ソファンの瞳からぶわっと涙があふれかける。
「ずっと、なりたかった……航平さんの、恋人」
「俺も。なれて嬉しい」
恋人という関係。それはきっと明日の別れの時までなんだろう。俺たちを隔てる距離と時間は、あまりにも残酷だ。
タオルの上からそっとソファンの胸元に手を這わす。
「ねぇ、やっぱ全部見たいし抱きたい。ごめん、お願い。もうソファンに逢えないの、触れないの、めちゃくちゃしんどい」
泣き顔を覗き込んで、カッコ良さや男らしさの欠片もなく縋った。
そんなみっともない俺にソファンは、
「わかりました」
と綺麗に微笑んでくれて、やっぱり綺麗に涙を一すじ零した。
そっとタオルを剥ぐと、なめらかで平らな胸にぽちりと控えめに乳首が震えていた。脚はがっちりと閉じられている。
男相手は初めてだ。最終的にはアナルを解して挿入するのは知っているけれど、その前段階はどう触れていけばいいのかわからない。
「ここ、触っても平気?」
胸の輪郭を指先でつっとなぞりながら尋ねた。わからないからこそ、男でも胸で感じてくれるのか知りたい。
「いいけど、航平さんは楽しくないですよ?やわらかくないし」
「ん、ほんとだ」
片手に収めて揉むようにしてみても、丸い膨らみなどあるはずもない。
ただ指にあたってくる小さな乳首には、ふにょふにょと淫猥な好奇心を煽る感触がある。指先で軽く触れてみると、
「んッ……」
ソファンが甘く息をついた。
気持ちイイんだ、ココ。
それがわかったらもう夢中で、その可愛い突起をくにくにと弄 りまわしてしまった。
「ひゃ!ん、ん、んん……だめぇ……」
「すごい、硬くなってきてる」
赤く色づき、ツンと上向きに立ち上がっている。
堪らず、もう片方のそれが放ったらかしで可哀想に見えて、噛みつくように吸いついた。
「んあぁッ!」
小さな乳首を舌先で転がし、ちゅうちゅうと吸い上げる度に、ソファンの身体が悶えるようにくねる。
「あッあッ、だめッ……変、変になっちゃうから……んあぁッ!」
「ダメ。感じまくって変になっちゃうソファンが見たい。ココ、敏感で可愛いし」
どちらもすっかり熟れてしまった乳首を嬲っているうちに、俺の腹に何か硬い物があたってくる。
ソファンの勃起したモノが、とろとろと先走りを零していた。
嫌悪感は湧かなかった。
快感に腰は揺れ、ぴったりと閉じられていた膝も緩んで開いてきている。
その脚の間に自分の片膝を挟み込んで、痛くない程度にぐりぐりと根元を刺激してやる。
「ああぁ!あッ、やあぁ、や、う、あぁ……そぇ、だめッ……そぇしないでぇ……」
張りつめた玉を膝でいじめて、両手は乳首をやわく撫でるに留める。閉じられないでいる口元に唇を押しつけた。
涙に濡れた熱っぽい目が、不安げに見上げてくる。
「ヤバい。すごい興奮する。すげぇ可愛い」
「ほんと、ですか……?僕が男で、いやじゃない?」
「全然嫌じゃない。もっと可愛いとこ見たい」
バレないように潤滑剤を近くに引き寄せ、
「やっ……待って」
と弱々しく抵抗してくるソファンのその脚を大きく割り開いた。
「俺もソファンのちんこ舐めてみていい?」
「えっ!?やだ!やだ!そんなことしなくていいです!」
「ちょっとだけ」
暴れる両脚を押さえ、先走りと汗でしっとりと濡れたソレに舌を這わせる。
「んんんッ!」
とっくに硬くなってはいたけれど、フェラへの反応もイイ。
される側の経験しかないので我ながらヘタクソだが、歯を当てずになるべく唾液を絡めて、あとは自分がされて気持ちイイことをしてやればいい。
裏筋をべろっと舐め上げ、カリをぐるりと一周舐めまわし、先端をじゅるじゅる吸う。
「やっやっや、んッ、んッ、んんん……!」
ソファンの腰が跳ねるように揺らめく。
唾液やら先走りが滴り落ちていく先に、排泄のための、そしてこれから俺を受け入れてくれるはずの孔がある。
「はァ、ああ……あぁん、もぉだめぇ……」
すっかり力が抜けてしまったのか、ソファンはもう無抵抗だ。すらりとした太ももがぱかりと開いたまま震えているだけだった。
たぶんもうどう舐められてもどう咥えられても、ビクビクと感じいってしまうくらいには敏感になっている。
頃合いかも、と指先に潤滑剤を乗せ、そっと慎ましやかな窄まりに触れる。
「うにゃああッ!」
「にゃあって……可愛いけど。ごめん、びっくりした?」
「はい……ちょっと……」
するすると塗り込めても抵抗はされない。でもソファンはやや戸惑った顔をしている。
「どした?」
「あ、あの……ソコ広げるの、やってくれるんですか?僕自分でやりますけど……」
「えっ?いや、それは男の役目と言うか……あ、ソファンも男だけど。え、つーかできるってことは、その……ひとりでシたりとか……」
ソファンは恥じらいながら頷く。
「これもいつか男の人とできるように練習してましたから。あと、航平さんにこんなことさせられないですし」
自分のワザでどうこうしたい気概もあるが、好きな子の公開オナニーを見られるとあっては、どうしてもそちらに気持ちが傾く。
「じゃあ、ちょっとやって見せて?」
「……あんまりじっと見たら嫌ですよ?」
と言われたものの、だ。
ソファンの綺麗な指がにゅぷぷっと卑猥な音を立てながら、彼の秘められた孔に挿入されていく光景から、目を離せる方が今の俺の状態としておかしい。
きっとかなり練習していたはずだ。男にしてはやや細めの指だが、潤滑剤のぬめりで容易く二本入った。
はぁはぁと荒い呼吸の中に、
「ふ、うン……」
とか、
「あぁん……」
と時折艶っぽい声が混じる。
「だからそんなに見ないでって言ったじゃないですかぁ」
大股開きの股ぐらばかり凝視してついに怒られたので、ソファンの隣に寝そべり、髪に頬にキスをして、ごめんと伝える。
「どうしよ……航平さんの大きいから、もっと慣らさないと入らないかも」
「おっきいかな。へへ、ありがと」
「指、二本までしか入れたことないです。だからこれ以上広がらないかも……」
ソファンが申し訳なさそうな表情をする。
「そんな顔しないで。……よし、俺も頑張るから、ソファンもあとちょっとだけ頑張ろ」
再びソファンの脚の間に座し、ギチギチに埋め込まれている指を一旦抜いてあげる。
「あ、待って。しなくていいです!僕がもっと頑張るから……」
俺が自分の指にたっぷりと潤滑剤を絡めたのを見て、ソファンが焦っている。
「俺の方が指太いし、あー……その分キツいかもしれないけど。……あとさ、やっぱりふたりでエッチしてるんだし」
俺はソファンに触れたいし、ソファンには俺を受け入れてほしいし。それができる、たった一度きりの夜だ。
ソファンもそれをきっと理解している。控えめに頷いてくれた。
咥えこんでいた彼の指を失った小さな孔は、はくはくと呼吸をするようにその口をうごめかしている。
傷つけてしまわないように、慎重に慎重に指先を埋め込んでみる。
「あぁ……」
艶を含んだ呻きを聞きながら、第二関節あたりまでゆっくりと進められた。
「痛くない?」
「へーきです……」
ナカを広げられるかと、指をぐるりと回してみる。
「ううぅッ!」
ソファンの身体がぴくんと強ばる。苦しんでいるのではなく、快楽を堪えているのは明らかだった。
きっと今の辺りにイイところがあった。探すか。こういうのには男は本当に興奮してしまう。
「はァ、あ……やだぁ……」
腹の側に何かあるような気がする。コリコリとしたた小さな何か。そこをトントンと軽く突いてみると、
「んゃあああッ!?」
ありえないほどに可愛く叫んで、身体をしならせ悶えた。
「ココ、気持ちイイんだ?」
男でいうGスポット的なモノだろうか。それを指先で押し上げたまま、小刻みに動かしてやる。
「わ、あッ……はァうう……やだッ!そこだめぇ……!」
「言って?『気持ちイイ』って」
「やらぁ!いえない!いえないぃ!」
喚きながら腰をうねらせるので、どうせ喚くならそれを言わせてみたい。ソファンの国の言葉でもいいけれど、できれば俺の知っている言葉で聞いてみたい。
「正直に言っちゃった方が身体ラクになるから。いやこれはマジで」
指で例の快楽のスポットを刺激し続けたまま、伸びあがって片方の胸に吸いつく。
「んああ!」
熟れた乳首を焦らすように舐め上げると、恥じらい嫌がる素振りの多かったソファンの顔つきが、堪えに堪え、もういよいよ堪えきれないといったものに変わった。
「くぅぅ……ふッ、あぁ……らめぇ……ぃ、き、きもひいぃ!」
言った。言えていないけれど。
「言えたじゃん、気持ちイイって。ほら、どこ気持ちイイの?どうしてほしいの?」
「ああん……あッ……はァ……ぜんぶきもひぃ……」
弱々しく本音を吐いた。
「ココも?」
乳首に軽く歯をあてる。
「……ッ!」
ソファンは声もあげられずに、ビクンと身体を震わせた。
ナカの敏感すぎる性感帯も責めたて、乳首も嬲り続ける。
やがて、
「うあぁぁ……ソコきもひい!も……あッ!きもひしゅぎてらめぇ……!」
ソファンは本格的に乱れ、
「あああん!もぉ……な、ナカとちくびがッ……あンッ……ひ、きもひくてらめになったうからぁ!」
と穏やかで清純そうな今までの姿からは、想像もつかない淫らな姿を晒してくれた。
「気持ちイイんだ?ソファン、すっげーエロい」
「う、うん……きもひ……きもひぃ……」
先走りでトロトロに濡れまくったソファンのソレも、若さ有り余って腹についてしまっている。
ナカの指はそのままに、可愛い陰茎にもう片方の手を添える。
「ひッッ!!あ、きゃ、わ……待ってぇ……!」
待てなかったのはソファンを責めまくりたい俺だけではないらしい。
ナカをトントン指で突いてやりながら、軽く、本当に数秒扱いてやっただけで、
「あッ!だめ!でちゃ……いッ……ッ……くぅ……ぅ……!」
ソファンもイくのを待てなかった。
綺麗な白い胸に腹に、濁った白が飛び散っている。
「ごめんなさい……」
「どうして謝るの?」
「だって……僕だけ先に、き……気持ち良くなって……」
恥ずかしさなのか不快感からなのか、白く汚れた身体を必死でタオルで拭っている。
その流れで、潤滑剤で濡れそぼったもういやらしさしかないとろとろの孔も拭こうとするから、その腕を掴んで止める。
「そしたら次は俺のこと気持ち良くして?……あー違うか。ふたりで気持ち良くなろ」
買ってきたばかりのゴムを着ける俺を見ても、ソファンは黙っていた。
これを無言の肯定と取りたくない。嫌だったけれど断れなくて無理やりされた、そんな記憶の中の男になりたくない。
「ソファン」
顔を寄せ、じっと目を合わせる。たぶん俺の目はどう優しく見せたくてもギラついてしまっている。
「挿れてもいい?嫌だったら今断ってもいいし、途中で嫌になったらそれもちゃんと言って?」
ソファンは首を横に振る。
「初めては好きな人が良かったから」
はにかんで言うのがいじらしくて、その身体を抱き締めた。
「優しくする」
「うん」
大事にしたい。大事にし続けたい。
それなのに俺にできるのは、この子の初めてのオトコになってあげることだけだ。
しかしナーバスになりかけても、ソファンの色香で俺は少しも萎えない。
潤滑剤を足した先端をひくつく秘孔にあてがい、カリの手前までがめり込んだ。ここから押し込めば挿入できるんだろうか。
でも女の子を破瓜させるのとはワケが違う。挿入されるべくしてできている器官でない。ソファンの身体を傷つけそうでどうしてもこわくなる。
「あ……航平さん……?」
「ごめんソファン。ここまで来て俺がビビっちゃった」
「大丈夫だから。……奥、きゅんきゅんしてます、航平さんが欲しくて」
そんな恥ずかしいことをやっぱり恥ずかしがりながら。
気遣ってくれている。男との経験のない俺を、同じく経験のないソファンが。
「ねぇ、早く……」
『処女』のクセに婀娜 っぽい表情で腰を揺らし、俺の最後の最後の決心を後押ししてくれる。
「いくよ……」
「あ……あ……ぐ……ぅ……」
カリのところを通してしまえば、あとはゆっくり押し進められそうだった。
「はァ、あ、は……あ……」
「平気?」
「うん、へーき……」
竿の真ん中あたりまで挿入できたところで、ゆるゆると腰を使いながらさらに奥への侵入を試みる。
「ひぁっ!あッ、やだ、あん!奥、奥はいっちゃうぅ!」
ソファンのナカは体温以上の熱を帯び、きゅうきゅうとまるで意思を持つ生き物のように俺を締めつけて放さない。
「はァ……すごい……すごいぃ……」
瞳を潤ませたソファンがうわ言のように呟く。
「何?何がすごい?」
「お、おくまできてる……こうへいさんのが……」
「苦しい?」
また首を横に振る。
「うれひい……」
初めてキスした数時間前と同じ言葉。本当に俺のことを。
こんな俺でも、異国で暮らし学ぶキミの、ささやかな心の支えくらいにはなれていたんだろうか。
ソファンの脚を抱え、その顔に自分の顔を寄せた。
「んッ……」
あたる場所が変わったのか、ソファンが吐息を漏らす。
その閉じられないでいる口元に軽く口づける。
「俺だって嬉しい。ソファンのナカ、すっごいキツくてあっつい。……ナカでイきたい」
ソファンがぐすっと鼻を啜り、俺に抱きついてきた。そしてわずかに腰を揺らす。
いいよ、の合図だと受け取った。
俺もソファンの身体をきつく抱いて、腰を激しく律動させる。
「あ、あ、あ、は、あ、んッ、あ、は、はァ、あ……やぁあ……!」
揺さぶられているソファンからは甲高く短い喘ぎが零れ、その腕は俺の首に必死に縋りついている。
一度ギリギリまで引き抜き、ガツンと奥まで一気に突き上げると、
「うああッ!!」
ソファンの声は一際大きくなる。
「今の、もっと……」
強請られてしまったから何度かしてやったが、そんな大胆な反応を見せられ続けては、こちらも限界で。
「ソファン、ごめん。エロすぎてイきそ。イかして?」
「きゃあんッ!」
首すじに顔を埋め、好き放題に腰を振ってしまった。
男とのセックスがこんなにイイなんて──いや、ソファンとだからだ。
「やッ、あッ!あんッ!はげし……!」
「あーダメだ……イく……ッ……あ……はァ……」
すべらかなソファンの身体を抱いて達するのは、これまで経験してきたセックスの中で群を抜いて良かった。
「ソファン大丈夫?ありがと。すっげー良かった。今までの誰よりもいちばん、断トツ。……そのくらい本気で好きってことなのかな」
はぁはぁと荒い呼吸の治まらないソファンが、
「もっとシたいです」
とせつない表情で呟く。
俺はソファンのナカから抜け出て、使用済みのゴムを処理中だ。当然萎えているし、気持ち的にも興奮しにくい時間帯だが。
「うん……ソファンは若いからもっとイけるよね。気持ちくしてあげる」
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