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R18★夜が明けたら海の向こう
今の挿入ではイけなかったソファン。それでも腹につくほどに勃ち上がっている。
このままでは可哀想とかでなく、続きは明日ね、また今度ね、ができないから。今叶えてあげられることは全部叶える。
「俺が復活するまでちょっと待ってね」
くったりとしたソファンの身体を、向かい合うように膝の上に乗せる。
小柄なソファンの頭が、俺より少し高い所にある。どの位置から見たって可愛くてエロくて愛おしい。
互いに吸い寄せられるように唇を重ねた。下唇をそっと舐めただけで、華奢な身体はぴくんと震える。
もうどこをどうされても感じてしまうゾーンに入っているらしい。感じやすい素質というものがあるなら、今まで未経験だっただけでおそらくそれを持っていたんだろう。
くちゅくちゅと舌を絡ませ合いながら、またこっそり指先に潤滑剤を取り、ソファンの臀部に手を伸ばす。
「ふあぁ!?」
すっかりただの性器に成り代わってしまった淫らな孔。その入り口をそっと撫でただけだ。それだけでソファンは首を仰け反らせ声をあげた。
腰を抱く力を強め、ソファンの身体が離れられないようにする。
「あッ……やだぁ……」
指先をほんの少し出し入れされるのにも、愛らしく啼いて腰を揺らめかせる。
ソファンは感じ入るあまり背中が反ってしまい、こちらもその上半身を支えるのに一苦労なのだが。
しかしこの体勢、俺の目の前にどうぞしゃぶってくださいとばかりに、いつまでも赤みの引かない乳首が差し出されているので。
「んあぁッ!」
遠慮せずにそのつぶらな果実にむしゃぶりつく。
後孔の浅いところだけをくちゅくちゅかき回し、舌に馴染んでいつまでも舐めていたくなる乳首をぬらぬらと嬲って。
「あッ……ひぃ……もぉやだぁ……」
「嫌?」
「うん、挿れてくれないといやです……」
情欲とせつなさに潤んだ切れ長の瞳で見つめられ、俺の腕をきゅっと掴んでくる。
こっちは早くも完全復活している。
「ん、もう一回ゴム着けるから待って」
そこでソファンが嫌々と控えめに首を振る。
「……あの、ナカに……出されてみたい、です……」
「えっ、大丈夫なの?……あー……大丈夫、か?」
俺には知識がない。女性相手ならもちろん妊娠させてしまいかねないけれど、男の子なら?
事後に自然と排出されてくるとしたら、問題ないんだろうか。
「赤ちゃんは出来ないけど、航平さんのが欲しいです」
俺はもうずっと、ベッドサイドの目覚まし時計から目を逸らしていた。別れの時が刻一刻と近づくのを考えたくなくて。
ソファンの方が覚悟はできているのかもしれない。
そんな彼なりに、俺の痕跡を少しでも自らの身体に刻ませ、想い出にしようとしている。
「わかった。じゃ、俺からもリクエストなんだけど、この座ったまんまで挿れてみてもいい?」
ソファンが頷いてくれたので、ゴムを着けていない生身のモノに潤滑剤をたっぷりと塗りつけてから、小ぶりな双丘を割り開く。
「そう、そのまま。腰落とせる?」
「ン……あ、はいりそ……」
こちらからもゆっくりと突き上げながら、徐々に挿入を深めていくと、やがてソファンがぺたりと俺の上に座る形になった。その脚はガクガクと震えている。
「うッ……んあァ……」
「全部入ったね。辛くない?」
ゆったりと揺さぶってやりながら尋ねる。
「あッ……へーき……」
正常位で挿入したさっきより深く繋がっている快感があるのと、それより何よりゴムを隔てていない分の生々しい体内の感触がある。
「ンンッ、あ……すご……あっつい……」
ソファンも俺と同様に感じている。直接繋がることでの、互いのリアルな熱と形を。
軽く突き上げてやると、
「ひゃあぁ!」
ソファンはこちらにぎゅうとしがみついてきた。
俺も彼の身体を腕の中に閉じ込め、次第に薄れゆく理性の中、きゅんきゅんと締めつけてくる淫猥な孔を責め立てる。
「うぁッ、あッ、あッ!んんッ……ああぁ~……」
「どこ?どこがイイ?」
「うぅぅ……おく、おくがイイぃ……!」
上擦った声で必死に訴えてくる。
俺もソファンをきつく抱き締め、彼の淫らな姿と繋がった部分の熱さに頭をだいぶやられている。
このままナカに出して孕ませてしまえば、俺の隣にずっといてくれるんじゃないかなどと、二重にありえないことを考えている。
「……あッ、もぉ……また、あンッ!」
「イきそ?」
うん、と小さく返事をして、すすり泣くように切羽詰まった吐息を吐いている。
左腕でソファンの腰を支え、右手はその張り詰めとろとろのソレに添える。
「ああッ……そぇだめぇ!」
腰の動きは止めてやらない。止めてやれない。奥を貫き続ける。
親指で止めどなく先走りを流す先っぽをぐにぐにと弄ってやると、
「あああ~だめっ!だめぇ~……でる、でるからぁ……ッあ!」
ビクンと身体を震わせ、今度は俺の右手を白く汚した。
「ごめんなさい……また出ちゃった……」
不要な謝罪に答えフォローする余裕は、俺にはもうなかった。
傍らにあったタオルでサッと手を拭い、向かい合い座った体勢からソファンをシーツの上に押し倒した。
「あ……こうへいさ……?」
「出す」
それしか頭にないから、それしか言葉が出なかった。
ソファンの脚を押さえつけ、ただ射精するためだけに快楽を追う。
「やあぁ!やッ!あッ!あッ!ぐッ!ああぁ!」
悲鳴が聞こえる。合意の上でだけれど、ソファンを性的に制圧している。
想いが通い合ったのに、たった一晩で手放さなければならない。
その虚しさが俺をどこか自暴自棄にしていた。
「ぐッ!あ……こぉ、へぇ、さん……」
白い腕が懸命に伸ばされ、俺の頬に触れてきた。
ハッとなる。
そうだ、俺はソファンにとって、初めてのオトコに、少しでも幸せな想い出になりたいのに。
「ごめん……こわかった?」
「いいえ、大丈夫です」
ソファンの膝裏を抱え上げ、身体を密着させる。少しつらい体勢かもしれないが、両手を指を絡ませ握ってやると、ソファンの指も呼応するように絡んできた。
ソファンの願いも叶えて、俺なりに思う愛情の現し方も示して。それで終わる一夜に、それで終わる綺麗な恋にしなければ。
「ソファン、ナカに出すよ?もう出したい」
「ふぁ……はい」
無意識にやっているのかナカがきゅんと締まった。
それに触発されるように、律動を再開する。
「はァ、は、は、あ……」
最初はソファンに負担がかからないペースで。
「はッ……は、こーへーさん……」
「ん?」
「……だいすき、です……」
胸の奥がぐうっと苦しくなる。嬉しいはずなのに。
「俺も大好きだよ、ソファン」
きっとソファンも幸せだけに満たされているわけではない。わかっている。それでも彼は嬉しそうに微笑んで見せる。
気持ちの持って行き場がない。
あるとすれば、
「あンッ!あ、あ、やッ、あぁッ……あッ、はァん!」
ソファンの願い通り、ナカに出して俺の記憶を刻んでやるだけだ。もはやそれは俺の望みでもある。
熱い壁にきゅうきゅうと締めつけられ、律動の度に入り口で潤滑剤がぐちょぐちょと濡れた音を響かせる。
「あぁ、ぐ、うッ、あン!」
「ソファン」
「はい……」
「イくよ。ちょっと激しいの我慢して?」
絡めた指はずっとそのまま。
互いの肌がぶつかり合う音が響くほどに、強く腰を打ちつけ。
快感と苦痛に堪えるソファンの顔を見つめ、その声を耳に。
「あぁ!うッ、うッ、ひゃ!あッ、あッ、あ……うぅぅ~……!」
この愛おしい子の体内に射精しろ、と脳に命じられたかのように、熱と欲がそこに集まる。
「はッ、あ……んッ、ぐ……おくすごいぃぃ……」
「ソファン、ソファン……イくよ……」
「ふあッ!?きゃ!うッ!やあァァ!」
射精するためのラストスパートに、ソファンの悲鳴が一層甲高くなる。
それでも俺の手を必死に縋ってくるから、俺もひとまわり小さなその手を握り返す。
「ぅあ……出る……ッ……あ、ああ……!」
先ほど一発ゴム越しに出したというのに、どこにこんなに余っていたんだというくらい。
身震いしながらずいぶんと長い間、射精が止まらなかった。
「ああ……あ……あつい……ぅあ、奥あっついよぉ……」
力が抜け、余韻に震えるソファンの胸元に頬を寄せる。互いに汗だくだ。
「ありがとうございました。すごく嬉しい」
俺も嬉しい、が言えなかった。
言ったところでどうにもならない、行かないでくれ、も言えなかった。
朝までにはまだ数時間あるはず。いや、数時間しかない。やはり時計はまだ見られない。
「もうちょっとお願いがあります。いいですか?」
「うん、何?」
「……朝になるまでぎゅってしててくれませんか?あといっぱいお喋りしたいです」
何だ、そんなこと。言われなくてもそうしていたかった。
「ん、そうしよ。軽く身体拭いてからね。とりあえず今抜くから」
挿入を解くと、ソファンの体内からとぷんと白濁が零れた。
惹かれ合った者同士、たしかに身体を繋げた。それでも喜びよりも悶々とした気持ちに包まれる。
「航平さん?」
おそらく表情を失っていた俺に、ソファンが心配そうに声をかける。
「何でもないよ。あ、飲み物要る?」
そこからのソファンは泣いたりしなかった。
嬉しそうに俺の腕に抱かれ、楽しそうに喋り、俺の将来のビジョンの話も聞いてくれた。
それから、実は俺に初めて声をかける約一年前に一目惚れして、そっと遠くから見ていたことも白状した。
「マジかよ……。あー、でも俺も覚えてるよ、ソファンが初めて話しかけてくれた時のこと。俺が描いてるのを見て、韓国語で何か褒めてくれたよね」
「はい、すごく素敵な青い世界の絵だなって思って」
「青……あー、あの絵か!あれ、俺も気に入ってんだ」
俺の胸に頭を擦り寄せるソファンの耳元で、シルバーのフープピアスが鈍く光る。
「その初めての時に、コレ買ってくれたんだっけな」
それにそっと指先で触れる。
片手間に作ったアクセサリー。こんなに想い出深い物になるとは思わなかった。
「宝物、いっぱいありますけど、そのひとつです」
「いいね。宝物、いっぱいあるんだ?」
自分の作ったピアスを宝物のひとつだと言ってくれたのが嬉しくて、何気なく返した言葉だった。
「航平さんの隣で絵を描いてるのを見てたり、お喋りしながら休憩したり、ぜんぶ大切な想い出だけど……いちばんの宝物は、今日のこと、です」
そう恥じらいながら呟かれたのに、胸が張り裂けんほどの強さで苦しくも甘く疼いた。
「俺もだよ。ぜんぶ楽しかった」
それはどうにか会話を続けようと苦し紛れに発した無難な返しだったが、口に出してみて本音でもあることに気づく。
寝ないで喋っていたいと言っていたソファンは、初めてのセックスでの疲れからなのか途中で寝落ちてしまった。
俺は彼の柔らかな黒髪を撫でてから、そっとベッドから抜け出る。
物音を立てて起こさぬよう、静かに作業スペースを漁る。
本気になった途端、本気の本気にさせられた恋だ。
これで綺麗さっぱり終わらせられるほど、俺はできた男ではなかった。
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