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89 智樹視点
「えー知ってる生徒も既に多いと思いますが昨日ウチの生徒もが屋上から転落する事故がありました。詳細は伏せますが意識不明の重体と言うことです。屋上はしばらく生徒は出入りしないようお願いいたします。部活動につきましても……」
校長の長い話。周りは同情するフリしてるだけさ。皆面白おかしくあることないこと言う。
もしかしたらSNSにウチの学校でとかやるバカも出るだろう。
まぁ僕は何も関係ないから良いけど。
本当だよ。
だってやったのは
草下水樹……なんだからアハハハ
言ったでしょ?彼は忠実な犬だと。
屋上に呼び出し突き落とすだけ。
落ちる瞬間上履きを抑えたから脱げて落下したんだ。勿論透明の手袋で彼の指紋付きの遺書。
上履きも床に跡が付かないよう細工済み。
僕は念のためアリバイを作った。
飛び降り前には校門にある監視カメラを通ってる。
そして彼はその後ウチではなく空き地で待ち合わせ例のを使って突き落とした記憶を消しといてあげた。
罪悪感やら口封じのためにお陰で彼も他人事のように自殺と思ってるようだ。
スマホでは一切やり取りもしてないからその辺も心配ない。
これでアイツは本当に用済みになった。
唯一の誤算は奴がまだ生存してる事だ。
意識不明の重体で頭も打ってるからどうなるか分からないけど意識が戻れば面倒だ。
学校の屋上くらいじゃ無理だったかぁ。
計算上も少し悩んだけど自殺にするには学校の屋上しかなかった。
せめて首吊りなら確実だったけど手間がかかるし、抵抗されたら他殺を疑われる可能性がある。
これは賭けだけどまぁ仮に証言されても疑われるのは草下で既にやった記憶と僕の繋がりは消した。
アイツはどうなろうがいい。
つまり僕にはたどり着かないし、大体頭を打った奴の証言をどこまで信じるかも分からない。
証拠もないんだから恐らく任意で話聞くくらいだろう。
完璧だよ。綿密に計画を立てたんだから。
アイツの母親は公僕で、余程無能じゃない限り必ず1度は疑って調べようと動くだろう。
それも計算済みだよ。証拠なんかない以上アイツが目を覚さない限り事件とは思わなくなるさ。
頭脳戦なんて始めてでミステリーオタクの
僕には最高に楽しいゲームだ。
所詮現実の公僕なんてこの程度さ。
そして既に僕の勝ちだ。
ただ問題は……悠里くんのケアだ。
朝の会で聞いた瞬間に倒れて今は保健室だ。
しばらくは部活動は中止だ。
もうすぐ連休だし、ずっと側にいればいい。
アイツがまだ消えてないから悠里くんは
戸惑ってるだけだ。
奴に会う事もないからもっと僕に依存させてやる。
例の機械はリスクがある。
最悪脳に障害を残すかもしれないから悠里くんには絶対使えないし使う気もない。
「なぁ大翔のやつどうなっちゃうんだ……悠里もショックで倒れるしさ」
「そうだね心配だよ」悠里くんだけはね
「医者の息子で何でも出来るお前なら何とか出来ないか?」
「無理だよ内科や小児科レベルの話じゃないし、理系得意でも医学自体は専門外だし、とにかく僕らは待つしかないよ、でも仮に意識戻っても当分は入院に治療にリハビリとかでどのみち学校には来れないよ」
「そんなぁ大翔…なんでこんな事に」
一先ず今は様子見だ。悠里くんは夜にでも電話してみよう
でも桐原大翔もこのままにはしないさ。次こそは僕が直々に息の根確実に止めるよ。
そうすれば悠里くんも諦めて、僕に完全に
依存する。
今回は事故に見せかけてやるさ僕は天才なんだから…アハハハハ
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