111 / 124
112 立花グループの秘密
「ただいまー、、何貴方達!」
刑事さん達が帰る前に母さんが帰ってきた。
「お久しぶりです、桐原検事…警視庁の桜木です。桐原主任の葬儀以来ですね」
「覚えてるけど…なんで貴方達が?」
「実は息子さんに例の捜索でお話を伺いに来たんです」
「大翔に全て話したの?
なんて事してくれたの!
しかもこのタイミングで…
突き落とし事件の事も知ってるはずよ!
まだ脳に負担をかけるのは危険なのに!」
「本当に申し訳ないと思ってます。
ですが私達は息子さんを危険から解放するためにも忙いで調査を続けてるんです」
「そもそも正式な捜査じゃなく令状もないのに親の同意なしで勝手に押し掛けて息子に事情聴取なんて職権乱用、服務規程にも違反になるはずよ、これは警視庁に厳重に抗議します。息子を危険に晒す事はやめて」
「ですが検事…もし彼に鍵が託されてたら?後立花グループの御曹司と既に関わりがあるんですよ!大翔くん」
「えっ?どういう事大翔?」
「立花千尋だよ、
立花グループ会長の息子らしいよ」
「えっ?あの可愛らしい千尋くん?
なんでもっと早く言わなかったの?
あの子から近づいてきたの?」
「違うよ!
クラス一緒になって俺から毎日声かけて
やっと仲良くなれたんだ。
よく分かんないけど家族にも気に入られてるみたいでたまに食事とかに招待されるよ」
「なんて事なの!
もう千尋くんとは縁を切りなさい。
あの家も2度と行ってはダメ」
「なんで?母さん千尋は関係ないよ!
それに俺には害もないよ?」
「検事さんよ、息子さんは信頼されてるようですし、家の様子を探らせた方がいいのでは?」
「貴方達は黙ってて!
子供を危険な捜査に利用なんて許しません、とにかく千尋って子は関わり禁止、
家も絶対招待されても断りなさい!
当然ウチにもよ。
守れないなら遠くへ引っ越すわよ!
分かったね?」
立花グループなんて関係ない
母さんは分かってないんだ
千尋は千尋だなんだから……
でも今は従っておこう
「分かったよ……」
「貴方達も次はないわよ。
分かったら帰って」
「残念です。失礼しました桐原検事」
バタン
3人は帰っていった。
「いい大翔?
お父さんは事故なの…
危険な事は考えちゃだめよ?」
「前に言ってた大事な話……もし何か危ない事が起きそうな時は有無言わさず引っ越すって…千尋のパパの会社だったんだ?
母さんは父さん事故何か知ってるんじゃないの?桜木さん達は銃で撃たれたって……」
「とにかく話は終わりよ。
もし千尋くんの様子がおかしかったらすぐ言って…立花グループはね検察の特捜部も恐れる程力のある企業なのよ…」
「桜木さんの言ってた父さんが奪った鍵…それがあれば」
「やめなさい!関わりはおしまいよ。
もう忘れなさい。
本当は今すぐにでも遠くに引っ越したいわ。でも悠里くんが可哀想だし、今は様子を見る。でも危険が少しでも出たら大翔が何と言っても引っ越すから良いわね?」
母さんにしては弱気だ。
どんな悪も許さない検事なはずなのに。
父さんに何があったんだろう?
母さんにも言ってみたけど
さっき高圧的な刑事の言ってた胸に銃痕。
つまり心臓を撃たれたって。
それが本当なら殺人事件じゃないか
整理してみよう
立花グループの関与してる可能性、
でも千尋パパにはアリバイがあるって。
ある意味安心した千尋のお父さんじゃなくて、でも指示した可能性はあるのは事実。
立花グループって言ってもかなり人数いるだろうし、見つかるのはほとんど不可能だ。
もう1つは鍵の存在だ。
俺は夜中父さんからのプレゼントや貰った物全て調べたがそれらしき物はなかった。
「やっぱないかぁ…ハア疲れた」
1時間以上も調べやっぱないかと思い始めた時
これは?奥から出てきたのは四角い正方形な青いパカッと開く大きめな指輪ケースみたいのがでてきた。なんだこれ?
パカッ
中はネックレスだった。
正方形のロケットペンダントとサファイアの指輪が括られてた。
2つともH&Tと書いてある。
ペンダントは鍵がついてたが……思い出した!
《この鍵2人だけの秘密の鍵だお前に預ける》
《パパこれなんの鍵?》
《パパの宝かな?鍵はパパが帰るまで大事にしてくれな》
《うん》
えっーとあえて金庫じゃく引き出しの下側に
テープで止めてたんだ。お陰で俺も忘れてた。
完璧な隠し場所だ。
カチャ………ビンゴだ。
中身を開けたら………えっ?
写真があったけど…これって
俺と千尋?……
いや似てるがちょっと違う。
小学高学年か中学くらい?の時の
父さんと千尋パパで間違いない。
くっついて2人とも笑顔
とても仲良しだったんだな。
でもこのサファイアの指輪はなんだろ?
いつもしてた母さんとの結婚指輪とは違う。
前に千尋が言ってた
《親父には小学校で一目惚れした人が》
はっ!
《その人も両思いで陰で付き合ってた》
まさかその相手が…父さん?
なら指輪も千尋パパを愛してたから?
H&T=宏と隆之なら辻褄も合う
でも千尋パパと別れたって…
《でも時代が悪かったみたい》
《親父は政略結婚させられた》
政略結婚してから父さんも結婚した。
千尋パパが結婚したから別れて嫌々母さんと
結婚したの?
でも陰ではしばらくは関係を続けてた。
なら仕事上で2人は決別したんだろうか?
何だろう皆可哀想だよ。
どうしたらいい……父さん
《大翔写真の奥だ》
えっ?なんだろうなんか聞こえたような
写真の奥…………もしかして!
試しに固定部を外し写真を剥がしてみた。
間違いない……これが立花グループや警察の探してる鍵……SDみたいなデータチップだ……ギガ数も高いんだろうな、
そんな膨大なんだろうか?
でも中身はなんだろう?
見たら命狙われますよパターンか?
でも既に巻き込まれてるし、父さんはこれのせいで死んだなら知る権利があるし、原因も分かるかも、記憶力はかなりいい方だ。
PCを開いてネットを使わず起動した。
これは……立花グループが必死に探すだけはある代物だ。
内容はかなりえげつない物だった。
立花グループ自体は表向きは普通の大企業だが、裏組織としての活動や立花グループ内外問わず邪魔な人は排除したリストや証明映像がしっかり残ってあった。
銃や麻薬を日本経由で密輸させたりと海外組織とも癒着があるようだ。脱税や収賄に選挙法違反等々の金銭的犯罪も皆名前付であった。儲けるためになんでもするのか、だけどまだまだある。
後政治家や官僚に議員、司法機関の大幹部達や企業や財閥との違法な癒着や取引案件をそれぞれの立花グループとの取引履歴だ。
中には聞いた事ある名前もある。
彼らからも暗殺要請があり、立花グループの暗殺部という部隊が活動してるらしい。
あの相澤の名前もあった。
やっぱりただの警護人ではなかった。
相澤も既に何人も暗殺してらる……
コイツら腐ってる!
ドラマよりひどいくらいだ。
流石に俺でも覚えきれない。
そしてラストページには
No.3 X 立花孝之
No.2 Y 立花《相澤》皐月
No.1 Z AREX
国を変えるために!
最後はこう記載されてた
もう1つ分かったのはSDはもう1枚あり、
それには癒着や関わりのある人間1人1人
全員の悪事の証拠や監視して出た荒もがびっしり入っていて、恐らくそれを脅迫ネタにして操っているからこそ会社も大きくなった。
この記録は何十年も前から始まってる。
恐らく千尋の祖父からスタートしたのだろう。
国を変えるとやらは一体何をする気なんだ?
政界に入るか操る?テロを起こす?
でも国を裏で支えてて発言力もあるはずだ。
何にしても良いことではないだろう。
要は父さんが持ってたこのSDは立花グループの弱みを握れる心臓。
もう1枚は立花グループが持っていて、操ってる連中や同列の奴らの弱味が入ってる権力の強み心臓。
正に矛と盾だ
これは確かに大変な爆弾だ。
今立花グループは盾を失ってる状態。
司法機関や敵対グループや裏で恨まれてる奴ら、ほしい奴らはいくらでもいる
でも引っ掛かるのは千尋のパパは関わりは強くても黒幕じゃなかった…会長なのにNo.3?
立花皐月ってこの人も分からないけど相澤?
相澤さんと関係あるのかな?
会った事はないけどNo.2ならヤバそうだな
1番気になるのはこの謎のNo.1 アレックス?
コイツが云わば黒幕?何者?
立花の血縁関係者かな?
この正体が分かんなきゃいくら警視庁や検察の確か特捜部?に情報流しても…
俺は一先ずチップをペンダントに元通りにして鍵も閉めた。
さてこれどうしよう?
家族である母さんか?
父さんの部下だった警視庁の桜木さんか?
ずっと恋人だった千尋パパか?
だって……悩むよ
立花グループデータにあった関係者や裏の
操ってる奴等は全員逮捕されるだろう。
世界中の騒ぎものだよ間違いなく倒産する。
千尋パパも逮捕されたら
雪哉くんや千尋…あの優しい綾乃さんだってどうなるか分からない。
千尋は施設行きだろう。
ただでさえガラスメンタルだ。
割れたらもう俺にも心を開いてくれない。
原因を作ったのが俺なら尚更だ。
学校だけでなく世間からもひどい誹謗中傷にも合うだろう。生活だって逆転するんだ。
会社の事でいじめられるかもしれない。
下手したらネットで特定され晒されるかもしれない。
世間はお構いなしに千尋も誹謗中傷する。
千尋に耐えられるはずはない…
そんな目にも合わせたくない。
父さんだって本当は千尋パパを最後まで愛してたから警察に流さず隠したんでしょ?
きっと千尋パパを刑務所送りにしたくなかったから…
正義なんかどうでもいい。
ペンダントは鍵をつけた。
これで元通りだ。千尋に被害はない。
父さんのメッセージと違ってたらごめん
でも千尋を守りたいんだ…どうか許して
結論出すまでは首から下げるようにした。
万が一狙われたら切り札に使うために。
ともだちにシェアしよう!