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第2話

と、これが三ヶ月前の話だ…あれから、こうして動画をエサに呼び出されては、学校であろうとコイツの家であろうと咥えさせられるのに違いはなかった。ただ、何となく会話が増えたような気がする。 「りんちゃん、相変わらずヘタクソだねー。そんなんじゃ、いつまで経っても解放してあげないよ?」 「うるせーよ!たまには自分で出せよ!」 「それはダメだよ。チンチン出すところから雰囲気出さなきゃ 笑」 「うるせー!クズっ!」 「りんちゃん、クズはないでしょクズは。」 「案外、名前呼んだり見つめ合ったりするだけでもいい空気になるかもよ?」 「うるせーな!黙ってろよ!」 「まぁ、おまかせでー」 相変わらず、変わり映えのしない咥え方にコイツのモノが達するわけもなく… 「ねーりんちゃん、ちょっと来て」 そう言ってぐっと引っ張られて、体制を崩し勢いのままコイツの膝を跨いだ。気まずっ。慌てて降りようとするが何を思ったのか、コイツは俺を抱きしめて来た。 「うわっな、な、何すんだよ!」 「んー抱きしめてんの」 「だから何で?」 「ダメ?」 「いや、ダメ?とかじゃなくて何で⁈」 「何となく?」 「何となくって何だよ!」 「ねーりんちゃん、俺と付き合ってみる?」 「はぁー?何言ってんの?訳分っかんねー」 「俺も分かんない。でも、りんちゃんに、すんげー会いたくなるんだよねー。これって何?」 「お前、俺のこと好きなの⁈」 「だから、それが知りたくてさ」 「って、お前が俺を好きなわけないだろ!お前、俺が咥えてもイかねーじゃん!そこに愛はねーよ!」 「そう。それはそうなのよ。りんちゃんヘタクソだからって、何で泣いてんの⁈」 「お前、いい加減にしろよ!人の事何だと思ってんだよ!咥えさせたり付き合おうって言ったり…弄ぶんじゃねーよ!俺にどうしろって言うんだよ…」 「分かったから、泣かないで…」 散々、コイツの膝の上で暴れる俺を大きな腕で、ぎゅっと抱きしめてくる。 「…うぅ~バカやろー」 「うん、ごめんね。一生懸命してくれてたのに、ヘタクソはないよね…」 慰めるように抱きしめてくる。 「何でそんなこと言いだすんだよ…」 「ごめんね…。自分でも分かんなくて、でも、さっき言ったのは本当でりんちゃんにものすごく会いたくなるんだよ。これが何なのか知りたくて、こんなの初めてだったから」 「勝手なヤツ…」 「りんちゃん…」 「でも、無理…」 「そうだよね…こんな酷いことしておいてね…分かった。もう動画も消すから、りんちゃんのこと解放してあげる」 「…え?もうしなくていいの?」 「そうだよ、本当にお終い…」 やったー。心の中でガッツポーズ! なのに、コイツは…どんな顔だよ。

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