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9 次ってなんですか? ※

「天音、俺もう余裕ねぇ……。こんなん初めてだわ……。もう入れていい?」  冬磨の言葉を聞いて、こらえていた涙があふれ出た。  でも、涙の種類が変わった。絶望の涙から、幸せの涙に……。 「……い……れて。……きて……とぉま」 「天音」  後ろから優しく包まれて、頬に柔らかなキスをされた。  初めてだけど少しも怖くない。いまから冬磨と一つになれると思うと、叫びたくなるほど幸せだ。  冬磨がゴムを手に取ったのは音と気配でわかった。ローションを孔に塗られ、そこに冬磨の熱いものを感じた。 「天音、いい?」 「うん……」 「……やっぱ前からじゃだめ?」 「……うしろがいい…………っつってんだろ……」 「ふはっ。お前のそのギャップ、最高」  笑い声と一緒に、冬磨のものが孔に押し当てられる。  俺がディルドで広げるときよりも、もっとずっとゆっくり優しく、冬磨が俺の中に入ってきた。そっといたわるように、少しづつゆっくりと。俺の中が冬磨でいっぱいになっていく。 「あぁ……、ぁ…………っ」 「天音……っ、もっと力抜いて」  力を抜くってどうやって?  わかんない。でも、ビッチがわからないなんてありえない。言えるわけない。 「……っおい、締め付けんなって……っ、はぁっ……」  わからないなりにやってみたら、間違ったらしい。 「お前、こんな震えてんのにからかうとか……心配した俺笑えるな」 「しんぱ……?」  冬磨は俺を心配してた?  何度も震えを指摘したのは、心配してたの?  俺は「もしかして初めてか?」という言葉が続くんじゃないかと怯えていたのに、冬磨は心配してくれていたんだ、と嬉しくて心が震えた。 「んっ、あぁ……っ……」  冬磨が俺の中でいっぱいになる。深く奥まで冬磨が……。本当に冬磨と一つになれた……。全身が幸福感に包まれる。  後ろからでよかった。こんな顔、冬磨に見せられない。次から次へとあふれ出る涙が、枕に染み込んでいった。  冬磨が俺の背中に倒れ込んで深く息を吐き出した。 「天音……頼むから、もうちょい力抜いて……」  ごめん、冬磨……。どうすればいいのか俺にはわからない。 「……締まってる……っほうが、きもちぃだろ……」  わからないから、誤魔化すしかなかった。 「……っとにお前、よくわかんねぇ」  冬磨の声が怒ってるように聞こえてビクッとする。  でも、すぐにクスクスと笑い声が聞こえて安堵した。 「マジでもたないかも。……動くよ」  冬磨はチュッと背中にキスをして身体を起こし、ゆっくりと優しく動き始めた。 「あっ、……んっ、……と……ま……」  気持ちいい演技をするつもりだったのに、そんな必要はなかった。  冬磨が中にいるという幸せと、後ろから聞こえる冬磨の切なげな吐息が、俺をゾクゾクと震わせた。俺の腰を支えるその手すら優しくて、ときどき背中に落ちるキスがあたたかくて、幸せの涙がまたあふれる。 「……きっつ。……ははっ、やば……っ。えー……マジか」  余裕のなさそうな声で冬磨が笑う。  優しく中を出入りしていた冬磨のものが、グッと奥まで突き入れられた。 「あぁっ…………!」  冬磨が突然後ろから俺をぎゅっと抱きしめた。 「天音、マジ……ごめん。…………ぅっ……っ」  グッと数回深く突かれ、耳に熱い吐息がかかり、中で冬磨がビクビクと震えた。  冬磨が俺の中で果てたとわかって、ゴム越しだとわかっていても冬磨の分身が俺の中に入ってきたような気がした。急に自分のお腹が愛おしく感じてそっと手を添える。ゴムがなければもっとよかったのに……。 「……ん……っ……」  冬磨が中から出ていった。  終わっちゃった……。  初めてだとバレたかな……。嘘つきだと怒られるかな……。  俺は脱力して上げていた腰を落とし、完全にベッドにうつ伏せる。  このあとの展開が怖い。  ……でも、なにを言われてもビッチ天音をつらぬこう。ボロは出さない。俺はビッチ天音、ビッチ天音……。   「なに、天音。次は寝バックがいいの?」 「…………え……次?」  冬磨の質問の意味がわからない。次ってなに?  だってもう終わったんじゃないの?  寝バックって……あ、寝たままバック……? 「……天音。もしかしてさ……」  冬磨がなにかを言いかけたけれど「いや……なんでもない」と濁された。  もしかしてのあとは、なにを言おうとしたの……? 「天音まだ出してないじゃん。まだ終わんないよ? ……ちょっと情けないけど持ちそうになくてさ。わざと一回出した。次はもっと長く楽しもうぜ」  次はもっと長く……。 「……ふ……っ…………」  もう一度冬磨と繋がれるんだと思ったら、思わず涙があふれて嗚咽が漏れた。慌てて枕に顔を押し付ける。 「天音?」  どうしよう……幸せすぎてめまいがしてきた……。  俺、これが終わったら天に召されてるかも……。 「おい、どうした?」  冬磨に変に思われる。なにか言わなきゃ……。  声が震えないよう必死に喉に力を入れた。 「このまま……寝バックでやって。冬磨」 「……んだよ、泣いてんのかと思った。ビビらせんなよ」  冬磨が心底ホッとしたというように息をつき、後ろから覆いかぶさってくる。  よかった……誤魔化せたみたいだ……。 「天音、マジでなんかちょいちょいハラハラさせるな? わざとか?」 「ハラハラ……? なんで……」 「…………ま、いっか。じゃあこのままいくよ?」  冬磨がゴムを手に取った。 「え……もう?」  だって冬磨、いま出したばっかり……そう思っていたら後ろに冬磨の熱いものが再びあてがわれた。  嘘……っ。冬磨、もう硬い……っ。  

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