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「姫宮様は最近、私達とよく話してくださってとても嬉しく思います。姫宮様と出会えて本当に良かったと思えますよ」
「そんな大袈裟な」
「大袈裟ではありませんよ。私、構いすぎてしまうところがありますから、しつこいと思われているんだろなと、思いましてね⋯⋯」
「その節は申し訳ありませんでした」
「いえ! とんでもございません! むしろ、信用してくださっているのかと思うと、感激致します。身に余る思いでございます」
やっぱり、大袈裟だと言いかけたが、飲み込み、代わりに苦笑した。
と、そこで「そうです!」と安野が手を打った。
「姫宮様が、御月堂様の緊張を解いてあげたらいかがでしょう」
「私がですが⋯⋯?」
「そうです。そしたら、御月堂様も自然と話されるでしょう」
「⋯⋯ですが、何を話したら良いのでしょうか」
「そうですね⋯⋯無難に、今日の天気とか、休日何をしているとかが話題にしやすいと思いますよ」
「なるほど」
「あとは、まあ⋯⋯奥様のこと、ですかね」
安野に言われて、今さら気づいた。
そういえば、未だに会ってないということを。
やはり、仲があまりよろしくないのではと、いらぬ心配をしてしまう。
御月堂の口から奥さんの話が出るまではしない方がいいと、色々と案を出してくれている安野の傍ら、心の中で誓ったのであった。
一週間が過ぎた頃、御月堂と散歩していくこととなった。
また長く歩かされるのだろうと、しかし、断るわけにもいかず、御月堂の後をついて行った。のだが。
ビルの一角、出入口には植木鉢が設置され、生い茂っているかのような植物らの目の癒しに出迎えてくれた店に御月堂は入っていくのを、周りをを見渡しながらも、続けて入る。
中は、五席程度とこじんまりとした佇まいでありながらも、暖かな照明に照らされた温もりのある木の材質に、ホッとひと息を吐きたくなる店内であった。
「いらっしゃいませ。お好きな席にどうぞ」
御月堂らに声を掛けてきたのは、初老の女性。
「ここでいいか」
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