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「⋯⋯わたしも、この仕事をしたいと思ってしたわけじゃないのですよ」 小口がおもむろに口を開いた。 「そもそも仕事自体したいとは思ってないし、自分の好きなことをして、好きな物を食べて、そういう人生を過ごそうと思ってました」 いわゆるクソニートってやつですよ、と冗談混じりに言った。 「ですが、まあ、現実はそうやっているわけにもいかず、学校を卒業してから派遣で食い繋いできましたが、そろそろ前していた仕事も飽きてきたので、他の仕事をしようとした時、この仕事を見つけました」 今までの数々の仕事をやってきた経験を活かせるのでは、というのは後付けで、給料面に惹かれたのが主だったという。 「年齢がバラバラで、他はおば──お姐さま方で、わたしが最少年ですが、適当に仕事をしている風に見せかけていれば、特にそれ以上の交流をしなくていいやと思ってました」 コミュニケーションはめんどいですからね〜と、軽い調子で言った。 「ですが、姫宮さま。あなたさまを見た時、少し考えが変わったのです」 「⋯⋯私?」 「はい」 寝ぼけ眼のような瞳が、キラリと光ったような気がした。 「初めて見た時は、わたしと同じように自身の仕事に対して、仕方なくやっているように見えました。ですが、回数を重ねるうちにそれは、仕事どころではない、この世の全てを諦めているんだと感じました」 傍から見ても感じ取られてしまうのかと衝撃を受けていると、やっぱりと言いたげにフッと笑った。 「けれども、どうしてそうまでして、代理出産なんていう、大きな責任のある仕事をしているのだと疑問に思った時、気になって、一人になれそうな時を伺ってました」 それが、御月堂が急に訪れたあの日だったという。やはり、半分はサボるためにいたということを付け加えて。 「それがまあ、あの御月堂さまに泣かされたとは思わなくて。びっくりしましたよ」 「⋯⋯本当に、あれは御月堂様のせいではないのです」 「じゃあ、どうして?」

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