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69.※暴力表現あり

しかし、その希望は呆気なく霧散され、そのまま働かされることとなった。 自身を慰める行為ですら嫌悪しているというのに、見知らぬ相手に一晩中穴を犯され続け、吐き気を覚える。 その相手が欲を貪る獣のようにしか思えなくて、痛がり、泣き喚いていると、初めての時のように、時にはそれ以上に手を上げられた。 手を上げられたくない。回数を重ねていくにつれて、どうしたら(相手)を悦ばせることが出来るのかを学び、やがてその行為を受け入れることになった。 その努力が実ったのか、相手が増え、それと同時に金銭も増えた。 しかし、いくら金銭がもらえたとしても、年齢的な未熟さと、このような場所でしか生きられないと、自分には自由がないと思い、金回りが良くなってもただ虚しさが残るだけ。 自身が何がしたいのか分からないまま、ただ相手と交わることだけに生かされる日々を送っていた。 年月が過ぎ、獣だと思っていた相手が次第に"客"だと思え始めた頃、ある客と相手をすることになった。 しかし、その相手は今まで相手にしてきた客とは見た目もそうだが、纏う雰囲気が違った。 目鼻立ちが整っており、ひと目で奪われるような容姿をしているが、目尻が吊り上がっているためか、常に睨まれているように見えて、苦手だった。 気分は肉食獣に怯える草食動物だった。 けれども、そんな彼を意識的に離れたくても離れられないものがあった。 彼が放つ気高きアルファのフェロモン。 孕みたい、なんて言いかけてしまうほどに彼に魅せられていた。 彼もまた姫宮抑えきれないフェロモンに当てられてしまっているのかと思っていた。 ところが、彼は眉一つ動かさずに平然とした態度でいるのだ。 拒絶された、と嘘の愛の言葉を囁かれたりも、体を重ねたりもしていないのに、一人で勝手にショックを受けていた。 そんな姫宮を知ってか知らずか、彼はこう言ったのだ。 『⋯⋯話でもしないか』

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