73 / 106
73.※性行為
それからというのも、慎ましくも笑顔が溢れる生活を送っていた。
その中でも、定期的に訪れる発情期 で苦しめられたけれども、今は一人じゃなく、俊我が慰めてくれるから、心細くは感じなかった。
だが、姫宮の意思とは裏腹に、『ナカに射精 して』だの『孕ませて』だの口走ってしまうからか、俊我が素直に応じて行為に至ってしまうのがしばしばだった。
店にいる時は、避妊具だったり、発情期 の時は客を取らないようにしていたため、俊我が初めてで付き合ってくれるものだから、戸惑いながらも甘えてしまっていた。
しかし、オメガの発情期 時は、溢れんばかりのフェロモンが出ているから、それに充てられたアルファは正気でいられず、本能のままにしている可能性もある。
だから、望まない妊娠をしてしまう可能性があった。
『俊我さんは、子どもが欲しいと思ってますか⋯⋯?』
ある日、発情期 が落ち着いてきた頃、おずおずと訊ねた。
『欲しいと思っているが?』
『僕のフェロモンに充てられたせいで、その気を起こしてませんか?』
『そんなわけがない。欲しいからこそ、愛賀を愛している。⋯⋯愛し足りなかったようだ』
『え⋯⋯まっ⋯⋯!』
俊我に唇を奪われた。
それが合図だったかのように、角度を変えつつ、指先でピンと立った乳首を捏ねくり回され、声を漏らし、震わせた。
さっき達したばかりであったため、どこを触れられても、過剰に反応してしまい、その度に仰け反り、跳ね上がった。
これまで発情期 の時しか、俊我と交わったことがなかった。だから、素の状態で自身の喘ぐ声を聞くなど、働いていた時以来、いや、その時のわざとらしい声とは違う甘い声で、恥ずかしくて声を封じようと努めた。
だが、俊我が気づかないはずがなく、姫宮の中に挿れることを許してしまった彼の熱に突かれたことで、抑えきれない声を響かせることとなったのだ。
『もっと⋯⋯愛してやる⋯⋯っ』
ともだちにシェアしよう!