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73.※性行為

それからというのも、慎ましくも笑顔が溢れる生活を送っていた。 その中でも、定期的に訪れる発情期(ヒート)で苦しめられたけれども、今は一人じゃなく、俊我が慰めてくれるから、心細くは感じなかった。 だが、姫宮の意思とは裏腹に、『ナカに射精()して』だの『孕ませて』だの口走ってしまうからか、俊我が素直に応じて行為に至ってしまうのがしばしばだった。 店にいる時は、避妊具だったり、発情期(ヒート)の時は客を取らないようにしていたため、俊我が初めてで付き合ってくれるものだから、戸惑いながらも甘えてしまっていた。 しかし、オメガの発情期(ヒート)時は、溢れんばかりのフェロモンが出ているから、それに充てられたアルファは正気でいられず、本能のままにしている可能性もある。 だから、望まない妊娠をしてしまう可能性があった。 『俊我さんは、子どもが欲しいと思ってますか⋯⋯?』 ある日、発情期(ヒート)が落ち着いてきた頃、おずおずと訊ねた。 『欲しいと思っているが?』 『僕のフェロモンに充てられたせいで、その気を起こしてませんか?』 『そんなわけがない。欲しいからこそ、愛賀を愛している。⋯⋯愛し足りなかったようだ』 『え⋯⋯まっ⋯⋯!』 俊我に唇を奪われた。 それが合図だったかのように、角度を変えつつ、指先でピンと立った乳首を捏ねくり回され、声を漏らし、震わせた。 さっき達したばかりであったため、どこを触れられても、過剰に反応してしまい、その度に仰け反り、跳ね上がった。 これまで発情期(ヒート)の時しか、俊我と交わったことがなかった。だから、素の状態で自身の喘ぐ声を聞くなど、働いていた時以来、いや、その時のわざとらしい声とは違う甘い声で、恥ずかしくて声を封じようと努めた。 だが、俊我が気づかないはずがなく、姫宮の中に挿れることを許してしまった彼の熱に突かれたことで、抑えきれない声を響かせることとなったのだ。 『もっと⋯⋯愛してやる⋯⋯っ』

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