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「お顔が赤いじゃないですか! 熱を出したのです?! 昨日は早めにお休みになられたはずでしょう! 湯冷めした様子もありませんでしたし、あ、もしや、日々の家事を教えたことが苦痛に感じられたのですか! 姫宮様は無理をなさってしまいますからね。そもそも無理になさらないでよろしいですよ。姫宮様は自身のされたいことを──」 「ストーップ」 そういうことではないのに、と言いたいのにそれを言う隙を与えない安野をどう止めたらいいのか戸惑っていると、今井の一声で止まった。 「安野さん、姫宮様のことになると心配しすぎです。見てください、姫宮様の顔を! 言いたいことがあるのに、言えない状況にしてどうするんですか」 「あ······私ったら。申し訳ございません、姫宮様」 「いえ、そんな、謝ることでは······」 しょんぼりとする安野の様子といい、気まずさを覚えたものの、「して、どうされたのですか」と今井に促されたことによって、改めて口を開いた。 「ただの熱ではないのです。これは定期的に来る発情期(ヒート)でして······。ですから、今日家事を教えてもらうのは無理そうで、皆様にご迷惑をおかけしたくないので、部屋に籠ることを言いたかったのです」 「そういうことだったのですね」 「発情期(ヒート)······!? どっちにしろ大変じゃないですか! さあさあ、私達に迷惑だのなんだのお気になさらないで、ゆっくりとお休みくださいませ。ご飯は食べられるのですか?」 「えぇ、まぁ······」 「安野さん。また姫宮様が困惑しておりますよ」 「あらやだ、また······! 申し訳ございません」 「そこまで気にしてませんので」 つい困ったように笑ってしまったが、さほど気にしてない様子の安野に、席に座るよう促され、素直に従った。

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