99 / 106

6.※ヒート、自慰

雅と共に言い放たれた、「あのような所で働いている人間が愛されていると思うな」に酷く傷つけられ、今後一切あの人のことは思い出さず、別の幸せに浸ろうと思っていた。 『大河』という名前もそうだったが、本当はあの人は、姫宮のことを──。 「······何もかも、手遅れだというのに」 あの人らしき人物を指先でなぞる。 小口は聞いていなかったのか、それとも聞こえない振りをしてくれているのか、聞き返すことはなく、それよりも新しいスプーンを持ってきてくれた安野と軽く会話をした後、 「気になるようでしたら、持っていっても構いませんよ」 「え、よろしいのですか」 「今日は違う遊びをさせますので」 「わたしは大河さまの様子を見てきます」と言って、部屋から去っていった。 「······勝手に持っていっていいのですかね」 「いいと思いますよ。小口の気遣いと、大河様が見せたかったものですし」 不安げに安野を見つめると、彼女は安心させるように微笑んでくれた。 と、つられて頬を緩めていたようだ.、大げさに驚き、心底嬉しそうにする彼女を見て、苦笑してしまうのであった。 二人の言葉に甘えて、大河の可愛らしい絵を自室のベッドに腰掛けて見ていた時だ。 腹奥が疼く。 それが次第に、後孔から蜜が溢れていくのを感じ取り、それと同時にぞわりと寒気にも似た甘い疼きを覚え、熱い息を吐いた。 来てしまった。 大切な宝物を脇に置きながらも、少しずつ自分が自分でなくなっていく感覚になっていき、我慢しきれなくなった姫宮は捲った裾を口に咥え、ぴんと勃った薄ピンクの粒を力を加えて摘んだ。 「んッ! ふぅ、んんッ!」 元々敏感である部分が、発情期(ヒート)によって、さらに敏感となっているため、少しでも力を加えると、過剰に反応してしまう。

ともだちにシェアしよう!