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第3話

「ふっ…ぐすっ …」 「………」 ネルガルはあまりの美しさに言葉を失った 天使は声が出ないように唇を噛み締め、 まぶたをぎゅっと閉じていた ネルガルは律動を止めてしばらく天使の反応を観察した すると天使は動かないネルガルを不思議に思ったのか、ゆっくりとまぶたを開け、様子を伺うようにネルガルを上目遣いで見てきた 薄茶色の瞳が揺れる ネルガルはもっと近くでその瞳を見てみたくて顔をぐいっ と近づけた 天使は急に顔が近くなって戸惑い、また強くまぶたを閉じてしまった 「おい、目、開けろ」 ネルガルは天使に言った やはり天使はこちらの言葉を理解しているのだろう 天使はおそるおそる目を開けた ぱちりとネルガルと天使の視線が合う が、すぐに天使はネルガルと視線を逸らしてしまった その仕草がまた、ネルガルの中をゾクゾクと刺激する ネルガルは止めていた律動を再開する 天使はいきなり動かれ驚き、痛みに眉をひそめた ネルガルは拘束していた天使の両手を解放してやる 天使は解放された手で、縋るようにシーツを掴み、痛みから逃れようと後退りする だが、ネルガルがそれを許すはずもなく、天使の腰を強く掴み引きずり戻せば、繋がった密部がグチュ と深いとこまで沈んだ 天使は目を見開いたが、そのままがくり、と意識を失ってしまった 「ゔぅ………」 「あれ、死んだ?」 ネルガルは天使の顔を覗きこむ どうやら死んだわけではないようだ 元々そんな体力もなかったのだろう 天使はその衝撃で起きた痛みで気絶してしまったようだ 天使は今にも死んでしまいそうなほど弱りきっている なぜこの天使はこんなにも弱ってしまっているのか ネルガルもチラリと見てみたが、ぼろぼろの羽以外、体に目立った傷はなく出血もない 気になることといえば、一度も喋るどころか恐怖に叫ぶこともない セックスの最中に喘ぎ声を出すものの、苦しそうに、掠れた声しか出さない そう言えば喉からひゅっひゅっという、空気が潰れたような音がする 息がうまく吸えていないのだろうか 極めつきにあの諦めたような表情 何かが引っ掛かる グチュ グチュ 考えながらも、ネルガルの腰の動きは早くなり、気絶した天使の中に、自分の欲を吐き出した これで天使に用は無くなった あとは喰い殺してやればよい だがネルガルは何故かこの天使が気になった 思えば不可解なことばかりである 何故魔界にいたのか 何故喋ろうとしないのか 何故、そんな表情をするのか 考えた末… ネルガルはこの天使をもう少しだけ生かしておいてやろうと決めた 深い意味などない ただの好奇心だった 毎日同じような日々が続く退屈な魔界で、暇つぶしにはちょうどいい 今ここで壊してしまうのは勿体無い 「さぁ、可愛い俺の玩具。どこまで耐えられるかな」

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