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第11話

恥ずかしい…… ただ体を洗われただけなのに、感じてしまう自分に羞恥心を覚えて、ネルガルに見られたくない一心で性器を手で隠した だが、それも虚しくネルガルに手を退けられてしまい、あらわになってしまったと思ったら、今度はネルガルが天使のそれを躊躇なく握り込んだのだ 「ぅあっ!?」 「媚薬がまだ抜けてないんだろう。1回イかせてやる」 「ふゔ、ん、んぁあ」 大きな手にすっぽり収まる小さなそれを、ネルガルはゆっくりと上下に擦り始める 途端に天使の喉から嬌声が漏れはじめた 「んあ、あっ…んぅう」 ビクッビクッと跳ねる天使に構わず、ネルガルの手のスピードはどんどん早まっていく ネルガルに触られピクピクと反応するそこもすでに限界に近かった 足をこわばらせ、唇を食いしばりなんとか耐えようとしたが、 「んぅゔ〜〜〜っっ」 天使はあっけなくネルガルの手の中で達してしまった 「はぁ、あ…ぅ」 「イったな、流すぞ」 「んっ………」 敏感な体は湯をかけられるだけでピクりと反応する ネルガルは余韻に浸る天使を素早く綺麗にすると、突然天使を横抱きに立ち上がった バスチェアからいきなり抱き上げられて、また何かされるのではないかと天使は慌てた だが、抱き上げられて向かう先は中央にある広い浴槽だった ネルガルはつま先からゆっくり天使を浴槽に下ろすと 少し待ってろ といい、慣れた手つきでネルガルも体を洗い始めた 正直天使はこれから何かされるのかと思い強張ったが、何事もなかったかのようなネルガルの反応に、なんだか拍子ぬけしてしまった 今まではあんなに手荒だったのに、今は… たくさん酷いことをされた 痛いことも、苦しいことも、強要してきたネルガルのいきなりの豹変ぶりに天使は驚いていた できるなら、ずっとそのままでいてほしいのに… そこまで考えて、天使は頭をふる ありえない 相手は残酷非道の悪魔なのだ きっとただの気まぐれすぎないのだから、これ以上期待しないほうがいいだろう 天使は浴槽の縁に頭を預けて上を向く 射精したあとの独特の倦怠感のせいで目を瞑ればすぐにでも眠ってしまいそうだった 眠気に抗い目を開けると、天井にはあたりを優しく照らすガラス細工の照明がキラキラと光っており、天井のあちこちに反射して綺麗な模様をつくっていた 天使は改めて浴室全体を見渡す 広い浴室は黒を基調とするモノトーンな寝室とは違い、白を多めとしたアンティークのようなデザインで、落ち着いた雰囲気である なんとなく、天使はこの浴室の雰囲気を心地よいと思った 「気に入ったか?」 「……ん…」 いつの間にか、全身を洗い終わったネルガルがやって来ると、浴槽に入り天使の横にぴったりとくっついて座った 眠気と疲れが強いせいで、いつもならネルガルの行動一つ一つにビクビクと震えていたが、今は頭がぼーっとしたまま、横目でネルガルの行動を眺めていた 隣に座ったネルガルは、浴槽の縁に頭をのせる天使に 首を痛めるぞ と、腕枕をするかのように天使の頭に腕を回した 天使は大人しくそれに従い、ネルガルの腕に頭を預け、ゆっくりと目を閉じた 「…グリフにこっぴどく叱られてな、あの媚薬は取り上げられてしまった。せっかく苦労して取り寄せたのに、もう使えない」 「………」 それはよかった 天使は目を閉じながら耳を傾ける あの媚薬は強すぎた 上も下も分からなくなるうえ、呼吸をするのもやっとだった できることならもう使ってほしくないと天使は心の中で思った 相槌も何もない天使にネルガルは怒ることなく話を続ける 「お前が来て1週間で、グリフはお前にベッタリでな。仕事も放棄して毎日やって来るから厄介だな」 仕事、というとやはり医療関係なのだろうか 初日も天使を喰らいかけてはいたが、その後は慣れた手つきで怪我の処置などしてくれてたし、いつも持ち歩いてる大きなカバンにはたくさんの薬品が入っていた 悪魔に医療なんて、使うのかわからないけど それにあのグリフという悪魔はネルガルと違って痛いことはしないし、天使に言語や知識を教えてくれる まだまだ天使は魔界について知らないことだらけだ いつかここから逃げ出したときに外で生き残れるように、知識を蓄えておいた方がいいだろうと天使は考えていた もっとも、この悪魔が逃がしてくれるかなんてわからないけど… 「何か悪いことでも考えているのか?」 ビクッと天使は肩を震わせた 声にも顔にも出していないはずなのに、どうしてこの悪魔はわかったのだろうか 恐る恐る目を開けるとやはり、ネルガルは天使の顔を覗きこんでいて、パチリとネルガルと視線が合う 天使は緊張で目を晒せなかった 「はは、震えているな。俺が怖いか?」 「………」 怖くない訳がない この悪魔は残酷で、いつだって天使を一息で殺せるような存在だ だが、ネルガルに拾われたおかげで、今生きれているのも事実 それに、ネルガルを見てるといつも思うのだ 我儘で、横暴で、いつも人を見下して。 それでもネルガルの表情や瞳は、まだ少し幼さが残っていてときどき目を離せなくなるのだ 魔界に慣れて、天使の感覚が鈍っているからなのか、 それとも目の前にいる恐ろしい悪魔が、酷く美しいせいなのか 「…顔が赤いな。そろそろ上がるぞ」 「あ…」 しばらくの間沈黙が続いたが、ネルガルはそう言うと天使を抱き上げて立ち上がる 顔が赤い、と言われてると確かにクラクラするし、頭も少し痛い 抱き上げられて外の空気が体を冷ましていくのが心地よく感じるほど、天使の体は熱くなっていた でもまだ入っていたかったと天使は思った 次はいつ寝室から出してもらえるかわからないし、それに、いつまで生きてられるかもわからない 名残惜しいと思っていることがネルガルに伝わったのか 「また連れてきてやる。これ以上のぼせたら溶けちまうぞ」 ネルガルはそう言って天使を馬鹿にするように笑った 本当に、また連れてきてくれるのかな… 熱のせいか頭がうまく回らず、ネルガルの顔を見て、やはり子供のように笑うのだな、とぼんやりと思ったところで くるりと視界が回ると、天使の思考は深い闇の中へと落ちていった

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