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第一章(十三)逃げ込んだ店の中で
翌朝、日下 と恵 は妙によそよそしかった。
「おはよう」
幸 が恐る恐る挨拶をすると、恵は気まずそうに「おはよう」と返して、逃げるように出かけて行った。
日下はそれを見届けると、幸をキツい目で睨みつけた。
「全部お前の所為 だ!」
日下は怒鳴りつけると、テーブルを叩いて立ち上がり、幸の胸ぐらを掴んで持ち上げた。
「ジジイに抱かれて嬉しいか? お前なんか産まれて来なければ良かったんだ!」
そして、そのまま壁に叩きつけようとしたところで、優一の言葉を思い出して手を離した。
「くそっ」
日下が腹立ち紛れに、手元にある食器を投げつけると、それは幸の頬をかすめて飛んで行き、壁に当って砕け散った。
「目障りなんだよ! 早く出て行け!」
幸は怒鳴りつけられて、大慌てで準備を始めた。
「この事はジジイに言うんじゃないぞ!」
そして、何度も頷きながら、逃げるように自宅を出た。
優一 が奥の部屋で休んでいると、幸が開店時間より一時間も早く店にやって来た。
「おはよう」
幸は走って来たようで、少し息が上がっていた。
「おはよう。何かあったのかい?」
優一が心配して聞いてみたが、幸は大きくかぶりを振った。
「何もない」
幸は否定したが、その後すぐに優一にしがみついて来た。
優一は、幸がまた日下に暴力を振るわれたのではないかと思い、確認の為にシャツをめくってみたが、新しい怪我は増えていないようだった。
しかし、やはり何かあったようにしか思えず、優一は幸に尋ねてみた。
「家から逃げて来たんだろう?」
すると、幸は何も答えず、目をそらして俯いた。
「僕がついているから大丈夫だよ」
優一は幸を抱きしめると、服の下から直接背中をさすった。
「おじいさん」
腕の中で漏れた幸の吐息混じりの声は、堪らなく色っぽくて、優一の性欲を刺激した。
優一は、恵もベッドでは、幸のように色っぽい姿を見せるのだろうかと考えて、妄想が止められなくなった。
しかし、恵を抱く事は許されない。
色々悩んだ結果、恵を抱いている事を想像しながら、幸を抱けばいいという考えにたどり着いた。
優一にはその欲求を抑える事が出来なかったし、ちょうどいい事に開店まで十分時間もあった。
「可愛いね」
優一は幸を抱き寄せると、口付けて舌を絡めた。
「んっ」
幸がいくら押しても優一はびくともしない。
優一はそのまま幸を畳に押し倒すと、口付けながら体中を撫で回した。
「大好きだよ」
そして、手をズボンに入れて直接扱 き始める。
「気持ちいだろう?」
幸は逃げようともがくが、優一は離そうとしなかった。
「感じているのかい?」
昨夜の事もあり、幸は優一との行為が堪らなく嫌だった。
しかし、幸は優一が喜ぶように、大人しく身を委 ねる事にした。
「気持ちいいだろう?」
「気持ちい、です」
優一はひっそり笑うと、幸のズボンを下ろして股間を舐 め始めた。
幸は、大好きな優一のする事だからと耐えてはいたが、堪らなく恥ずかしくて、気持ち悪かった。
「やっ」
思わず幸が声を漏らすが、優一は構わず、ズルズルと音を立ててすする。
すると、幸のものは口の中で固く大きくなって来た。
優一は幸のものを咥 えて執拗に舐めまわし、何回も何回も幸をいかせた。
『やめて』
言おうとして口から出たのは、微かな喘ぎ声だった。
「やっ、あっ」
幸の声に刺激されて、優一の股間も固くなって来た。
優一が口を離して体を起こすと、幸はほっとしたように息を吐く。
しかし、優一は行為自体をやめるつもりは毛頭なかった。
「可愛いね」
幸の前髪をかき上げると、額に優しく口付けて、涙を指でそっと拭った。
幸の泣き顔はどこか色気があり、とてもそそられるものだった。
怖がる顔も、嫌がる顔も、笑う顔も、喜ぶ顔も、全てが優一を興奮させる。
そして、恵がその表情をする事を考えて、優一の股間はさらに大きくなった。
優一は自分のズボンを脱ぐと、ぐったりと横たわる幸の体を抱き起こした。
「おいで」
優一は幸の顔を自分の股間に誘導する。
「僕がいつもするようにしてごらん」
幸は潤んだ目で優一を見る。
「可愛いね」
優一は、恵は日下に抱かれている時に、こんな顔をしているのだろうかと考えて興奮した。
「ほら」
優一に促され、幸は性器に口をつけた。
たどたどしい舌使いで舐めまわす幸に、優一はさらに要求する。
「咥えて」
しかし、優一のものは大きくて、幸の口には入りそうにない。
それでも、幸は懸命に頑張って、口の中に先だけ入れる事が出来た。
「んっ、んっ」
そして、口に咥えて奉仕する。
健気な幸の様子は堪らなく愛しかった。
優一は、ここで奉仕しているのが幸ではなく恵だったらと想像して、股間がはち切れそうになって来た。
そして、あっという間に絶頂に達すると、性器を抜いて幸の顔に吐き出した。
幸は咄嗟に目を瞑ったが、顔に優一の精子がかかった。
「悪かったね」
そう言いながらも、優一は幸の顔中に精子を塗りたくる。
「可愛いよ」
優一は、再び、幸の姿を恵に重ねて興奮した。
そして、幸を抱き寄せて、股間を扱き始めた。
「もう……いやっ」
幸が潤んだ瞳で助けを求めた時、開店時間を告げるアラームがなった。
優一はティッシュ箱を渡すと、幸の背中を優しく撫でた。
「いい子だ。頑張ったね」
そう言うと、優一は幸を置き去りにして、店のシャッターを開けに立った。
「カラン」
幸はぐったりとした意識の中で、店の扉の開く音を聞いた。
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