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第一章(十九)最後の一線

 食事を済ませ風呂から出た後、優一(ゆういち)(みゆき)を抱くのはいつもの日課になっていた。  もう二人で暮らしているのだから、何も気兼ねする事はない。  優一は幸の裸体を見つめながら、体に手を滑らせた。  白い肌は上気して赤く染まり、滑らかで手に吸い付くようだった。 「綺麗だ」  優一は口付けながら、幸を優しく布団に寝かせた。 「んっ、はっ」  幸の口の端から漏れる吐息が、優一をさらに興奮させる。 「可愛いね」  優一は幸の体を舐め回しながら、手でまさぐった。  もう、優一の股間は張り詰めていた。 「幸、舐めて」  請われるままに、幸は股の間に入って股間を舐める。 「いい子だ」  優一は上体を起こすと、幸の後ろに指を滑らせた。 「あっ」  幸が体を震わせるのを優一は満足そうな表情で見つめた。 「感じているのかい?」  そして、指を一本、二本と増やして行く。  幸は中を掻き回されて、堪らず口を離した。 「ああっ」  そして、小さな声を漏らす。 「気持ちいいだろう?」  しかし、言っている優一の方が、限界に達しそうだった。 「もっと気持ちよくなろうね」  優一は荒い息を吐きながら、幸を仰向けにすると、股の間に自分の体を入れた。 「痛っ」  幸は激しい痛みに襲われて逃げようとするが、優一は足を抱えて離そうとはしなかった。 「すぐに気持ちよくなるから」  優一は緩める気など毛頭なく、構わず中に進んで行く。  幸を下から突き上げる痛みはさらに激しさを増した。 「やっああ」  優一は幸に覆い被さり、ずり上がろうとする体を押さえつけるように抱き締めた。 「力を抜いて」 「あ、あっ」  幸の目から涙がこぼれる。 「少し我慢するんだ」  幸も痛みに耐えながら力を抜こうとするが、しようとすればするほど逆に力が入る。 「やっああ」  しかし、優一は幸の体など全く気にもかけずに、早く中まで入れて動きたいと、無理やり腰を進めて行った。 「やああああっ」 「大人しくして」  そうこうているうちに、優一の体は幸の奥まで収まった。 「いい子だ」  優一は耳元で(ささや)くと、腰を動かし始めた。 「お、じ、さ……」  幸は痛くてつらくて気持ち悪かったが、それでも大好きな優一の為だからと、必死に耐えて要求に応えようとした。 「気持ちいいよ」  耳元で優一の吐息が熱くなる。  幸はつらい行為に耐える寄る辺のように、優一に抱きつこうとするが、優一の体が幸の腕からするりと抜けた。 「幸、いくよ」  優一は上体を起こすと、幸に激しく打ち付けた。 「はっ、ああっ」  痛がってあげる幸の声が、優一をさらに興奮させた。  優一はいっそう激しく腰を動かすと、幸の中で果てた。 「あ、あ、あっ」  様々な感情がないまぜになって、幸は嗚咽(おえつ)を漏らした。 「いい子だったね」  優一は幸の中から離れると、幸の涙を拭った。 「慣れたら気持ちよくなるから」  そう言って、幸に口付ける。 「だから、もう一回してみようか」  幸はこれで終わったのだと思っていたのに、まだすると言われて、驚いたように優一を見た。 「もう、嫌……」  助けを求めるが、優一は先程の行為の気持ちよさに、快楽を求める他には、何も考えられなくなっていた。 「今度は幸のも触ってあげるから」  そして、優一は腰を打ち付けながら、幸のものを扱いた。 「あああっ」  幸は、唯一自分を助けてくれる筈の優一にいじめられていた。 「やっ、ああっ」  恐怖と、痛みと、訳の分からない感覚に貫かれて、声を抑える事が出来なかった。  しかし、優一は自分の手の中で大きくなるのを感じて、幸が快感のあまり喘いでいるのだろうと思った。 「幸も気持ちいいかい?」 「やあ、あああ、やめっ……」  優一に激しく突かれて、幸は悲鳴をあげた。  けれども、優一は行為をやめず、激しく腰を動かし続けた。 「僕も気持ちいよ、ああ、もうっ」  そして、もう一度幸の中でいった。  中から溢れたものが、幸の尻を伝って布団に落ちた。 「大好きだよ」  優一に抱き締められて、幸は背中に(すが)りついた。  幸は、つらい事をされても、優一の言う通りに気持ちよくなるのだろうと思ったし、大好きな優一の頼みなら応えずにはいられなかった。  それに、幸を抱き締めた優一の腕はとても温かかった。 「僕も大好きです」  幸は涙を流しながら優一に告げた。 「いい子だ」  優一はそう言ってから、幸の(ほほ)を伝う涙を拭うと、深く口付けた。

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