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第三章(十一)独占欲

 多田(ただ)は執務室から人払いをすると、ドアに鍵をかけた。  ここに(みゆき)がいるのなら、多田はわざわざ日下(くさか)の家まで出向く必要もない。  沢井(さわい)に預けておけば、幸を毎日事務所に連れて来るのだから、多田はいつでも執務室で抱く事が出来るだ。 「移動の手間が(はぶ)ける」  ただ、問題があるとすれば、ここにはベッドがないという事くらいだ。 「幸、服を脱いでこっちに来てごらん」  多田はソファに座ると、幸を手招いた。  幸は言われた通りに全裸になると、恥ずかしそうに多田の前に出る。  多田はあれほど抱いても、まだ恥ずかしがる幸の姿に興奮を覚えた。  ズボンを脱ぐと、多田はもう限界まで張り詰めていた。 「こっちを向いて、ここに座ってごらん」  そう言って、多田は膝を叩く。  多田は幸が膝に乗ると、後ろを(ほぐ)し始める。  しかし、既に後ろは十分解れており、多田は沢井が幸に手を出している事に気付いた。  多田は幸の世話を任せた時から、こうなるだろうと予想はしていたので、別に沢井に対する怒りは湧いて来ない。  ただ、幸に対しては、不条理な怒りが込み上げて来る。  幸は多田のお気に入りで所有物なのだ。  そして、先程その才能の片鱗(へんりん)を目の当たりにした事で、その欲求は強くなっている。  だから一層、幸の裏切りが許せなかった。  しかし、多田はそれを表には出さず、普段と同じ調子で幸に語りかける。 「少し腰を浮かして、これを入れるんだ」  多田は張り詰めたものを幸の後ろにあてがう。 「自分で穴を広げて」  幸は言われるままに、ゆっくりと飲み込んだ。 「そのまま動いてみろ」  多田は幸を手で支えながら上下に動かす。  幸は分からないながらも、多田に支えられてゆっくりと体を動かした。 「いい子だ」  多田は幸を抱きしめると、深く口付けて舌を絡める。  幸はそれにおずおずと応えた。 「んっ」  幸は口付けと下からの突き上げの両方からの刺激に耐えきれずに、多田にしがみついた。  すると、多田は幸の口を解放する。 「可愛いな」  耳元で(ささや)きながら幸の体を揺らす。 「自分で体を動かして、気持ちいいところを突いてみろ」  多田は幸の腰を支えながら、幸の肌に舌を這わす。  洗ったばかりの体から漂う石けんの匂いは、どんな香水よりもそそられた。  幸は多田に言われるまま、突き上げに合わせて自分の体を動かす。 「声を出すんだ」 「あっ」  多田に命じられて、腰を振りながら微かに声を()らした。 「堪らないな」  幸は多田の好みに仕上がって来ていた。  しかし、こうして自分に腰を振りながらも、沢井にも体を許しているという事実に、多田は苛立ちを覚えた。 「気持ちいいか? もっと声を出してもいいんだぞ?」  そう言って、多田は幸の中を滅茶苦茶に突き上げた。 「やっ、ああっ」  幸は恥じらいながらも、堪えていた声を漏らした。 「ほら。幸も動くんだ」  幸は言いつけに従うように、懸命に腰を動かす。  多田は片手で幸の腰を支えたまま、体中をまさぐり舐めまわした。  そして、激しく突き上げながら幸の腰を持って上下に動かす。 「やあっ」  いつも以上に激しく攻めると、普段は泣き言を言わない幸が助けを求めて身をよじった。 「サボらずに動け」  多田は幸の尻を叩く。  痩せて体力のない幸には酷な体勢だったが、それでも多田に応えるように懸命に動いた。  多田は、健気な態度に興奮して、更に腰を激しく動かす。 「はっ、ああ」  幸は体をのけぞらせて自分の顔を手で隠した。  多田は幸の中で一度いくと、今度はデスクにうつ伏せにさせた。  幸の手が当たってデスクの上の物が床に落ちる。  その音すらも多田を興奮させた。 「いくぞ」  多田は幸の背中を抱くと、自分の快楽のままに幸を犯し続けた。 「気持ちいいって言ってみろ」 「気持ち……い……」 「いきそうだろう?」  多田は幸の股間を触る。  まだ精通もなかったが、刺激すれば股間は固くなる。 「いくって言ってみろ」 「いく」 「腰の動きに合わせて言い続けろ」 「いく、いく、いっ……」  幸の可愛い声に興奮して、多田は二度目の精を吐き出した。  幸はその後も何度も犯されて、最後にはぐったりと床に倒れこんだ。 「よく頑張ったな」  多田は優しく髪を()でたが、幸にはもう意識がなかった。  幸の体をソファに寝かせると、多田はその耳元にそっと(ささや)く。 「お前は私の物だ」  そして脱いだ服を着直すと、最後に幸の体に上着をそっとかけた。

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