fujossyは18歳以上の方を対象とした、無料のBL作品投稿サイトです。
私は18歳以上です
幸福論 第三章(十七)幸の腕前 | 汐なぎの小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
幸福論
第三章(十七)幸の腕前
作者:
汐なぎ
ビューワー設定
59 / 103
第三章(十七)幸の腕前
結城
(
ゆうき
)
は何処かに侵入しようと言っていたが、
幸
(
みゆき
)
の腕を披露する為だけに仕事をする訳にはいかない。
多田
(
ただ
)
はどうするか考えて、結城に手頃な金庫なりを用意させて、幸に開けさせる事にした。 そして数日後、結城は大きな金庫を荷台に乗せて、事務所にやって来た。 「ちわーっす。幸ちゃんいる?」 結城が声をかけると、執務室から幸が顔をのぞかせる。 多田は結城がアポなしで来たので焦ったが、タイミング良く今日はまだ幸を抱いてはいなかった。 「幸じゃなくて私に挨拶しろ」 多田はそう言うと、結城に執務室に入るよう手で合図をする。 「多田さんもこんにちは」 結城は取ってつけたように挨拶をすると、金庫を押して入って来た。 そして、金庫を指差し幸に尋ねる。 「これ、開けられる?」 結城が金庫を置くと、幸が目を輝かせながら寄って来た。 しかし、幸は道具を持っていなかった事に気付き、慌てて道具箱を取りに戻る。 それから、もう一度仕切り直すと、幸は金庫をじっと見つめた。 金庫は鍵穴とダイヤルのある普通の金庫だ。 「出来る?」 「はい」 聞かれて幸は即答した。 「じゃあ時間計っとくね」 結城はストップウォッチをセットすると、幸の真横に陣取った。 幸は気にする様子もなく、鍵穴をカチカチとつつくと、そのままダイヤルを回し始めた。 音と手の感触とで探りながら番号を拾って行く。 「どう?」 結城が幸に声をかけるのを多田が
睨
(
にら
)
みつける。 「邪魔になるから黙れ」 「はーい」 結城は仕方なく、ぼんやりと幸の手元に視線を向ける。 そして、退屈になって結城が
欠伸
(
あくび
)
をしかけた時「カチリ」と音が鳴った。 「開きました」 幸は綺麗な顔で笑う。 その笑顔が余りにも魅力的で、結城は思わず見惚れてしまった。 「結城!」 結城は多田に呼ばれて我に返り、慌ててタイマーを止めた。 「時間は?」 「六分あたり?」 結城は時計を多田の方に向ける。 辺りと言うのは、結城が止めるのが遅れて、正確な時間が分からなかったからだ。 「どうだ。凄いだろう」 言われて結城は頷いた。 「よく分かったよ。多田さんが気に入る訳だ。思わず笑いかけられた時、押し倒そうかと思った」 結城の軽口に多田が眉を顰める。 「おい」 「冗談だよ」 結城は嘘とも本気ともつかない口調で返した。 「でも分かったよ。依頼は請けるよ。教えればいいんだろう? 個室で二人きりでもいい?」 流石に多田もこれには腹を立て、椅子から勢いよく立ち上がった。 「人をからかうのもいい加減にしろ!」 しかし、結城はそれでも悪びれずに幸に抱きつく。 「今日から僕もロリコンに転向しよう」 「男だ」 多田は押し殺した声でそう告げた。 「へ?」 多田に言われて、結城は何の事か分からず間の抜けた声を出した。 しかし、多田は気にする事もなく、幸を結城から引き剥がして傍に引き寄せた。 「幸は男の子だ」 「へ?」 「また後日、日程は決めよう。今日は帰って貰えるかな」 多田は険しい顔つきで結城を見た。 「男の子でも……」 「帰れ!」 多田はいつまでも
巫山戯
(
ふざけ
)
倒そうとする結城を睨みつけて追い出す。 「金庫も持って行け!」 多田は結城を追い出すと鍵を閉めると、感情の読み取れない声で幸を呼ぶ。 「幸」 「はい」 呼ばれて幸が答えると、多田は乱暴にソファに投げ飛ばす。 それから、傍まで歩いて行くと幸の
顎
(
あご
)
を取った。 「あんな笑顔は私にだけ向けていればいいんだよ」 多田はそう言うと、幸の服を乱暴に脱がせる。 「しっかりと、その体に教え込んでやろう」 そして、多田は背広をデスクにかけると、幸に覆いかぶさり、乱暴に突き入れた。
前へ
59 / 103
次へ
ともだちにシェアしよう!
ツイート
汐なぎ
ログイン
しおり一覧