73 / 103

第三章(三十一)屈辱的な行為

 沢井(さわい)多田(ただ)に歯向かう事が出来ず、何も言えないまま部屋に帰った。 「くそっ」  沢井は、吐き捨てるように言って、ゴミ箱を蹴り飛ばした。  (みゆき)は性別の事を揶揄(からか)われていじめられた事があるのだから、少女に見られる事は嫌に違いないと思う。  それなのに、川上(かわかみ)に女装させられて抱かれるなど、もっての外だろう。  しかも、信頼する多田に命じられて、面識もない男に体を許さねばならないのだ。  一晩でもつらいだろうに、多田は幸を一週間預けたのだと言った。  確かに、沢井がやっている事も大差ないかもしれないが、それでも多田のやり方は酷いと思ってしまう。 「幸……」  沢井はもう、幸を心配する気持ちが、情なのか愛情なのかすら分からなくなっていた。  川上は郊外の大豪邸に住んでいる。  そこには、何人もの使用人がおり、川上は身の回りの世話を全て使用人に任せていた。  川上の部屋には、寝室と、衣装部屋と、リビングの三部屋がある。  それに、バスとトイレがついているという仕様だ。  川上は幸を自室に連れて帰ると、まず衣装部屋に案内した。  そこには、ずらりと可愛い女の子用の服が並んでいて、ちょっとしたスタジオのようになっている。  ここで、連れて来た少年を着替えさせたり、化粧をしたりするのだが、今日の川上は忙しい事もあり、幸に化粧はしない事にした。  別に用が終わってからゆっくり抱けばいい話なのだが、川上は幸の魅力にあてられて、待つ事が出来なくなったのだ。  川上は、幸の顔を見ながら、クローゼットに並んでいる服を指でなぞって行く。 「幸ちゃんには清楚な感じが似合いそうかな?」  そして、白や淡い色を基調にしたドレスやワンピースを何着か、幸の足元に置いた。 「着てごらん」  そう言われて、幸は驚いたように川上を見る。  幸もこんな生活を続けて来たのだから、自分が何をさせられるかは分かっていたし、納得してここに来た。  だから、この男に抱かれるのだろうとは思っていたが、まさか少女の服を着せられるなど想像の範囲外だ。 「僕は……」  幸は、川上が自分の性別を勘違いしているのだろうと思い、訂正しようとした。  しかし、川上は気にするでもなく、下卑た笑みを浮かべて、幸の胸にワンピースをあてる。 「まずは、これからだよ」  川上は否やを言う事を許さぬ調子で、幸にワンピースを手渡した。  幸は、受け取ったワンピースを見てしばらく考えていたが、意を決したように自分の服を脱ぎ始める。  最早、幸を動かしているのは、多田の命令に従わないといけないという、その思いだけだ。  川上は、その様子を視姦(しかん)するようにじっと見る。  幸は、その視線に(なぶ)られながらも、なんとか着替え終える事が出来た。 「いいね」  それを見て、川上は満足そうに笑みを浮かべると、カメラを持って幸の周囲を回りながら、写真を撮り始めた。  幸は、そのシャッター音を聞く度に、いじめられた時の事や、レイプされた時の事を思い出したが、唇を噛んで必死に耐えた。 「じゃあ、次はこっち」  言われるままに、幸は何着もの服に着せ替えられ、その度に何枚もの写真を撮られた。  そうして、幸が出された服全てを着終えると、川上は撮影データを見比べて、下卑(げび)た笑みを浮かべる。 「うん、やはりこれが似合うね」  そして、フリルのたくさんついた、前開きの真っ白なワンピースを手に取った。 「これを着てごらん」  川上はワンピースと一緒に白いニーソックスを渡す。  幸が渡された服に着替えていると、川上が最後に白い布を手渡した。 「後、これに履き替えてね」  そう言って、川上から渡されたのは白いパンティで、幸は赤面して(うつむ)いた。  着替え終わると、幸は真っ直ぐな長い黒髪のウィッグを被らされ、最後に赤い紅をひかれる。 「想像以上だ」  川上は酷く満足したように、幸の肩を抱き締めた。  そして、ワンピースの(すそ)をめくると、パンティに指をかける。  幸は恥ずかしくて目をきつく閉じるが、川上は構わずそこからスルッと太腿(ふともも)まで下ろす。 「このまま、足首までパンティを下げて」  川上は耳元に(ささや)くと、よく見えるようにと幸の正面に回った。  幸は恥ずかしくて、どうしたらいいのか分からずに戸惑う。 「さあ」  しかし、再び催促されると、幸は意を決して、パンティを足首まで下ろす。 「可愛いね」  そう言うと、川上は幸を抱き上げて、そのままベッドに押し倒した。  そして、ワンピースのボタンを外すと、既に幸の白い肌は、羞恥で赤く上気していた。 「いいね」  川上は興奮したように、荒い息を吐きながら、幸の乳首を()め始めた。  幸は気持ち悪くて体を反らすが、川上は乳首を執拗(しつよう)に舐め回す。  そうして、しばらくすると、幸の体がピクリと動いた。 「あっ……」  そして、幸の口から吐息が()れる。 「感じるかい?」  川上は乳首を指でこねくりながら、幸に深く口付け舌を(から)める。 「んっ……んっ」  口の(はし)から漏れる吐息が、さらに川上を興奮させた。  川上は、幸の肌に舌や指を()わせながら、ゆっくりと下半身に降りて行く。  幸は、川上の愛撫(あいぶ)が嫌な(はず)なのに、意に反して体が反応するのを止められない。 「あっ……」  幸の吐息は微かな(あえ)ぎ声に変わった。  川上は内腿に舌を這わせながら、くぐもった声で幸に告げる。 「幸ちゃんは大人しそうに見えて、随分(ずいぶん)とエッチな体をしてるんだね」  そして、今度は幸の股間を音をたてて舐め始めた。  幸の開発されて敏感になった体は、川上の愛撫に素直に反応する。 「ああっ」  川上は股間を舐めながら、今度はローションを取って後ろに指を入れた。 「あっあっ」  冷たさと刺激で声が漏れる。  川上は前を口で吸いながら、指の本数を増やして行く。  そして、幸が感じるポイントを執拗に攻めた。 「あっああ」  川上は口を離すと、幸に囁きかける。 「もっと大きな声で鳴いてごらん」  そう言って、幸の中をかき回した。 「あっあああっ」  中をいじめ抜かれて、幸が声を上げる。 「こんなに淫らな声を出して。幸ちゃんはいけない子だな」  川上は指を引き抜くと、上半身を起こし、幸の足を取って中に突き入れた。  それと同時に、幸の股間も刺激する。 「あ、あああっ」  幸が声を漏らすと、川上は恍惚(こうこつ)の表情を浮かべた。  「私に、もっと色んな顔を見せてごらん」  幸は攻められて、川上の下で喘ぎ(もだ)えた。  何も知らない子供のように見えて、体は抱かれる喜びを知っており、どこまでも淫らだった。  そして、中は弾力があり堪らなく具合が良い。 「幸ちゃん、最高だよ。これは取引以上の価値がある」  川上は激しく腰を打ち付けて、何度も何度も幸の中に出した。  少しの筈が、川上は気持ちが(たかぶ)ってしまい、自分を抑える事が出来なかった。  確かに、これまでも、何人もの少年を買って色んなプレイをして来た。  抱かれるのに慣れてすれている子や、()びを売るように振る舞う子、或いは怖くて泣き出す子など様々だったが、幸はそのどれとも違っていた。  その様子が、川上を魅了し興奮させるのだ。  川上は満足して幸から離れると、我に返って時計に目を向ける。  すると、予定の時間はとうに過ぎていて、川上は慌てて携帯を手に取った。  ミュートにしていて気付かなかったが、着信履歴に秘書の番号が載っている。  川上は、履歴から秘書に電話をかけると、幸の髪を撫でて頬に優しく口付けた。 「続きは夜にしよう。それまでいい子で待っているんだよ」  幸は言われて、川上の顔を見る。  それから、(かす)れる声で返事をして小さく(うなず)いた。  川上はその様子を見て、満足そうに微笑むと、ベットから出てシャツに(そで)を通した。

ともだちにシェアしよう!