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第三章(三十二)羞恥心

 川上(かわかみ)が出掛けた後、部屋に男の使用人が入って来た。  (みゆき)は知らない男が来た事に驚き、思わずシーツを掴んだまま上体を起こす。 「シャワーを浴びて体を洗うんだ」  男はぶっきらぼうに告げて、幸からシーツを引き()がした。 「起きろ」  そう言うと男は、幸の手を取って、乱暴にベッドから引き()り下ろした。  幸は、ワンピースも脱げかけ、寝乱れた格好をしていたので、恥ずかしくて慌てて前を合わせるが、男は気にした風もない。 「一人で洗えるか?」  面倒臭そうに告げる男の言葉に、幸はこくりと(うなず)いた。  それを見て、男は幸に告げる。 「じゃあ、自分で洗え。その後はこれを着るんだ」  そして、リビングのソファに服を投げてよこした。 「ウイッグは後で整えてから、ここに置いておく」 「分かりました」  幸は返事をすると、服を受け取ろうとリビングに向かった。  どうせ、女物の服だろうと思ってはいたが、ソファに置かれていたのは、透けた生地のネグリジェで、幸は思わず声を()らす。 「え?」  幸は困惑して、ネグリジェと男を交互に見た。  男はその視線に気付いたが、()えて無視して淡々と告げた。 「早くシャワーを浴びるんだ」  そしれ、幸の手を取ってバスルームに連れて行く。 「自分で出来ないなら、手伝ってやろうか?」  それに、幸は慌てて首を横に振る。 「自分で出来ます」  幸はそう言うと、バスルームの扉を開けた。  バスルームに入ると、広い脱衣所があり、壁には姿見がついていた。  幸は鏡の前に立ち、ネグリジェを胸に当ててみる。  しかし、あまりにも恥ずかしい格好に、幸は目を()らして(うつむ)いた。  元々そのつもりで来たのだから、知らない男に抱かれるのはいいとしても、川上の好みの服を着せられる事が、幸には耐えられなかった。  幸は零れた涙を手の甲で(ぬぐ)うと、服を脱いでガラス張りのドアを開けた。  夜も更けた頃、川上が部屋に戻って来た。  幸はベッドで横になっていたが、気配を察して、シーツを持ったまま上半身を起こす。  それを見て、川上はニッコリと笑みを浮かべると、幸の傍まで歩いて行った。 「ただいま。いい子にしてたかな?」 「おかえりなさい」  幸が挨拶を返すのに、川上は満足そうな笑みを浮かべる。 「幸ちゃんの可愛い姿を見せてくれないか?」  そして、川上は幸の手からシーツを奪い取ると、腕を取ってベッドから降りさせた。  幸はネグリジェ姿に、顔を真っ赤にして俯くが、川上は(あご)に手を当て顔を上げさせ、その姿をじっと見つめる。 「可愛いね。我慢出来ないよ」  そう言うと、川上は、幸に深い口付けをして、そのままベッドに押し倒した。 「幸ちゃん」  川上はネグリジェの上から、幸の乳首を指で(もてあそ)ぶ。 「んっ」  そして、幸が小さく声を漏らすのを聞くと、今度はネグリジェの(すそ)をたくしあげて、荒い息を吐きながら体中を()め回した。 「ああ、堪らない」  そして、体を指でたどりながら幸の股間まで頭を下ろすと、パンティの上から荒い息を吐きかける。  幸は生暖かい感触に思わず目を閉じた。  しかし、川上は興奮して、パンティの上から性器を口に含む。 「あっ」  幸は気持ち悪くて体を(よじ)った。  それを川上は押さえつけるようにして、更に舐め回し、パンティの隙間から手を差し込んで、幸の後ろに指を入れる。 「幸ちゃん……」  名前を呼びながら、川上はパンティを膝までずらした。 「可愛いね」  そして、手を滑らせながら内腿(うちもも)を舐め回す。 「もう、我慢出来ないよ」  川上はそう言うと、幸の履いているパンティを片脚だけ脱がす。  そのまま、幸に覆い被さるようにして深く突き入れると、激しく腰を動かした。 「あっあああ」  幸は攻められて、(あえ)ぎ声を上げた。 「もっと声を出していいんだよ」  川上の言葉に、幸は更に大きな声を出す。 「ああっあっあっ!」  その声に、川上は満足そうに口元を緩めた。 「いくよ」  そして、一層荒い息を吐きながら、激しく腰を打ち付けると、幸の中でいった。    川上は、幸との行為が一区切りつくと、何かを思いついたようにベッドから降りる。  幸が不思議に思いながら目で追うと、川上が棚の中から何かを取り出した。 「いい事を考えたよ」  川上はそう言いながら笑顔で振り向く。  そして、ベッドに戻って来ると、ネグリジェの中に顔を突っ込み、先ほど取って来た物を幸の後ろに入れた。 「気持ちよくなるからね」  川上は頭を出すと、手元のスッチを入れた。  それは卑猥(ひわい)な形状をしたバイブレーターで、幸の中で音を立ててうねうねと動き始めた。 「やあっ」  幸は今まで胸元にたくしあげられ、あらわになった白い肌は赤く上気している。 「やああっああ」 「可愛い声だね」  川上は、幸の首筋に顔を埋めて舌を()わせる。 「はっはっ、あああ」  刺激に貫かれて、幸は頭がおかしくなりそうだった。 「あっあああっ」  川上は体を伝うように下半身に降りて行くと、股間を舐め回して内腿をさする。 「ああっ」  幸は何回もいかされて限界を超えているのに、川上はバイブを止める気配がない。 「やっああっ」  幸の声は最早(もはや)、悲鳴に近かった。  川上は、幸が声を上げるのを下卑(げび)た笑みを浮かべて眺めていたが、しばらくしてから、やっとバイブを取り出す。  幸はこれで終わったのかと息をついたが、安心したのも(つか)の間で、今度はベッドにうつ伏せにさせられた。  そして、川上は、幸を後ろから抱きしめると耳元で(ささや)く。 「いい子だったね。今から幸ちゃんの大好きな物をあげるよ」  川上はそう言うと、再び幸の中に乱暴に挿入した。 「はあっ」  幸は苦しそうに息を吐く。  けれど、川上はお構いなしに、幸の尻を()でながら腰を動かした。 「気持ちいいよ。幸ちゃんの体は最高だ」  幸の意識は(なか)ば飛びかけていたが、川上は執拗(しつよう)に一箇所を攻めるように腰を動かす。 「あああっ」  感じる箇所を攻め立てられて、幸は喘ぎながら(もだ)えた。  その姿は、あまりにも(みだ)らで、川上は興奮する気持ちを抑える事が出来なくなった。 「幸ちゃんはいけない体だね。たっぷり可愛がってあげるよ」  そして、川上は幸が意識を失っても構わず、その体を飽きるまで堪能した。

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