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第三章(三十五)撮影会

 この日、川上(かわかみ)は一人の女を連れて部屋にやって来た。  その女は、メイクアップアーティストで、(みゆき)の化粧を担当するのだと言う。  幸は女物の服を着せられる上に、化粧までされるのかと、顔を赤くして俯いた。  川上は、(うつむ)く幸を抱きしめて口付ける。 「幸ちゃんが頑張ったからね。私もちゃんと多田(ただ)の依頼を片付けて来たよ」 「ありがとう、ございます」  幸は礼を言いながら、仕事をちゃんとこなせたのだと安堵のため息をついた。  しかし、幸の仕事は始まったばかりで、期日までにはまだまだ日にちがある。  不安ではあったが、どうあってもやり遂げねばならない事は幸にも分かっていた。  今回の仕事が失敗したのは、日下(くさか)が勝手な行動をとったからではあるが、そもそもは自分が熱を出した事が原因なのだから、幸は多田に申し訳なく思っている。  しかも、多田は幸を乱暴に扱うとは言っても、日下の虐待から救ってくれた恩人で、沢井(さわい)とは違う意味で大好きな人だ。  だから、幸は多田の為と思って、川上の言う事に大人しく従っていた。  そして、川上は、従順な幸を都合のいい人形のように扱う。 「いい子だね」  川上は幸の肩を抱くと、衣装部屋に案内した。 「今日はどんな格好をしようか?」  そう言うと、川上はざっと衣装を指でなぞり、選んだ物を次々と幸にあてる。  そして、最終的に今までとは全く毛色の違う、たくさんのフリルとレースのついた、赤と黒の毒々しい色をしたゴシックなドレスを選んだ。 「今日はこれで行こうね」  川上は幸にドレスと一緒に、黒のニーハイと黒いパンティ、そして、ストレートロングの銀髪を手渡した。 「着替えたらお化粧もしようね」 「はい」  幸は、何回か女物の服を着させられていたが、ちゃんと化粧をするのは今回が初めてなので、緊張した面持ちになる。  そんな幸に、川上は追い討ちをかけるように告げる。 「このドレスは、淫乱(いんらん)な幸ちゃんに良く似合うね」  川上に淫乱と言われても、幸は返す言葉もない。  多田に(しつけ)られた体は敏感で、幸の思いと裏腹に、攻められれば快楽を覚えて抑える事が出来なくなるのだ。  幸は耳まで赤く染めて、川上から顔を(そむ)けた。  化粧をすると言っても、幸は綺麗な顔と肌をしていたので、ほんのりと薄化粧をしただけで、整えたウィッグを被って終了となった。  それだけでも、今までよりも一層綺麗になっていて、幸はまるで人形のように見えた。 「綺麗になったね。お人形のように可愛いよ」  川上は、幸の肩を抱いて姿見の前に連れて行く。  幸は女装した自分をしっかりと見たのは初めてだったので、その姿にショックを受けた。  それでなくても、幸はいじめられていた事もあり、女の子に見られる事にコンプレックスを感じていたのだから、その衝撃はあまりに大きい。 「ほら、見てごらん」  幸は思わず、鏡から目を()らして俯く。 「僕は……」  そして、何か言いかけるが、それ以上言えずに黙り込んだ。  しかし、川上は恥ずかしがる姿を楽しむように、鏡の中の幸に下卑(げび)た笑みを向ける。 「今日は写真だけじゃなくて、ちゃんとした動画も撮ろうね」  川上は、幸の首筋に顔を埋めると、そっと耳元に(ささや)いた。  人が来て、何台かのビデオカメラを設置して帰って行った後、今までも、隠しカメラで撮っていたのだと川上が言った。 「今日はいつもより綺麗に撮れるよ」  川上はスカートの(すそ)を上げて、幸の足を()でる。 「ほら、そこに立ってスカートをめくってごらん」  そう言うと、川上は幸を先導してカメラの前に立たせ、ポーズをとるように命じた。 「さあ」  幸は促され、カメラから顔を背けるようにしてスカートを上げた。  しかし、川上はそれを許さないと言うように、幸の顔をカメラの方に向けさせる。 「そのまま、パンティをゆっくり脱いでみようか」  幸は意を決してパンティを脱ぐが、川上の要求はまだ終わらない。 「じゃあ、スカートをめくって、こっちを向いてしゃがんでごらん」  カメラから横向きになるように幸がしゃがむと、川上がズボンのジッパーを下ろす。 「これを()めてごらん」  幸はスカートを持つ手を握りしめ、川上の股間に口をつけた。  口に咥え、舌先で舐め、そうやって奉仕していると、川上の股間が固くなり、それと同時に呼吸も荒くなる。 「幸ちゃん……」  川上は幸の顔を股間から離すと、我慢出来ないと言うように、その場に押し倒した。 「いっぱい奉仕してくれたからね。いっぱい気持ち良くなろうね」  そして、幸の足をとって中に突き入れると、深く口付ける。  幸は目の隅にあるカメラが気になったが、川上はむしろ映っている事に興奮しているようで、いつも以上に激しく幸を求めた。 「あっ」  中を突かれて、幸が声を上げると、川上は耳元に荒い息を吐きながら、幸の足を撫でる。 「もっと声を出してごらん」 「ああっ」  川上が一箇所を執拗(しつよう)に攻めると、幸は体を(よじ)って(あえ)ぎ声を出す。 「気持ちいいかい?」 「気持ちいい……です」  幸は川上の言葉に答える。  それは、嘘のようで嘘ではなく、心では気持ち悪いと感じながらも、幸の体は快楽に震えていた。 「ああああっ」 「幸ちゃんは、いけない子だ」  そう言って、川上は自分がいくまで、幸の事を言葉と体で攻め続けた。  川上がいき、幸はもう終わったのかと息を吐くが、こんな事で川上が満足する筈もない。  今度は幸をベッドに誘導し、自分の股の間に座らせると、後ろにバイブを挿入して一番強いレベルでスイッチを入れる。 「あああっ」  幸は刺激を堪える事が出来ず、(もだ)えながらも、せめてもと自分の顔を隠した。  しかし、川上は更に刺激を加える為、ドレスの背中のファスナーを下ろし、首筋を舐め回しながら、乳首を刺激する。 「あっああっ」  幸は快感に貫かれて、頭がおかしくなりそうなのを必死に堪える。  けれど、川上は容赦なく幸の股間を刺激し始めた。 『やめて』 「やっあああっ」  言う事の出来ない言葉を飲み込むが、それは淫らな嬌声(きょうせい)に変わる。 「ほら、幸ちゃんの股の間が、後ろも前も、カメラから丸見えだよ」  川上は片方の手で、更にドレスを脱がせる。 「もっと恥ずかしい姿を映そうね」 「あああっああ」  幸はもう、自分の姿など気にする余裕もなく、ひたすら全身を貫く快感に抗っていた。  体は快楽に溺れて喜びに震えていたが、心ではどうしてもそれを認めたくはなかった。 「あああああっ」 『助けて』  その時、脳裏に浮かんだのは、多田ではなく沢井の顔で、幸はその記憶に(すが)った。 『沢井さん……』 「あっあああ」  幸が何度も絶頂に達した後、川上はやっと中からバイブを取り出した。  それから、今度は幸を四つん這いにさせると川上は、結合部が良く見えるような位置にカメラがある事を確認して、幸の中に突き入れる。 「あああっ」 「幸ちゃんもこれが欲しかったんだろう?」  もう、幸は限界に近かったが、川上は背中を抱きしめ、首筋を舐め、それから、容赦なく乳首や股間を刺激する。 「あああああっ」  そうして、川上はゆっくりと中を掻き回し、幸が落ちても構わず、心ゆくまでその体を堪能した。

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